つゆとこたへて＊ N.K (ページ14)

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「先生はどうしてこの大学を選んだんですか？」

「んー、まずは通いやすかったってことかな。
実家から電車1本で行けるし。
あとは授業の内容っていうか勉強する内容に興味があったのもそうかも。」

私もこの大学ならそんなに遠くないし、家から通える。

「まぁ、まずは見に行ってみるといいと思うよ。雰囲気とか合う合わないは感じてみないとわかんないしね。」

あ、オープンキャンパス今度あるみたいだよ。
そう言ってパソコンの画面を見せる。

「行ってみようかな…」

「もし行ったら感想、教えてよ。」

今まで見に行った大学は、こんなに進路を意識して見ていなかった。
もし実際通うなら？
もしここで講義を受けるなら？

「焦ってたんです…」

「ん？」

「他の子がどんどん志望を決めていく中で全然わからなくて、決めれなくて。
将来なんてよくわからないし…。
相談する相手もいなくって。
でも、先生に話を聞いてもらえてスッキリしました。ありがとうございます。」

ふわっと微笑んで、どういたしまして。と、優しく言う先生。
思わず視界が滲む。

零れ落ちそうな涙が先生に気づかれないように顔を下に向ける。
私、助けられてばっかりだ。

「お役に立ててよかった。話なら、いつでも聞くからね？」

「これからも、お願いします。」

先生の言葉は、いつも私の中にすっと溶け込んでいく。
その言葉ひとつひとつが雪みたいに優しくて、綺麗で、柔らかいんだ。