兄さん【ツイステ】 (ページ5)

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監視当番の子達に事情を話し領内を出歩いていい許可をもらった。
そして現在、お兄ちゃんの部屋に向かっております。

『(多分……部屋って豪華なんだろうな)』

従者ともあれ、カリムくんが「俺の部屋だけが豪華なのは嫌だ」と言い張ったんだろう。
なんともまあ能天気…というよりお人好し…。
そこも羨ましいが…何より、
兄だろうな。お兄ちゃんが思うことと私が思うことは違うだろうし。

なんて考え事をしていればいつの間にか部屋の前に着いていた。

『(緊張するな、大丈夫だ。いつも通りに。)んんっ……』

コンコンｯ

『バイパー先輩。Aです。』

ｼﾞｬﾐﾙ「嗚呼。入れ」

ドアノブを触ろうとする手を見てみれば震えている。いやそれ以前に少し顔の筋肉を緩ませれば今ならきっと涙も出るだろう。

『…失礼致します』

ガチャッ

入って見ればいつしか懐かしい匂いがした。
戸を閉め、深呼吸を1回する。

『ご要件とはなんでしょうか。』

ｼﾞｬﾐﾙ「A。こっちへ来い。」

何を言われるんだ。
そう思いながらお兄ちゃんのいるベッドへ向かう。
真正面で立ち尽くしていれば、

ｼﾞｬﾐﾙ「もっと顔をよく見せてくれ。」

そう言われる。
お兄ちゃんはウィッグに手をかけ取る。

『兄さ』

ｼﾞｬﾐﾙ「もう、"お兄ちゃん"とは呼んでくれないのか？」

『お兄ちゃん……』

ｼﾞｬﾐﾙ「嗚呼。それでいい。二人の時はそう呼んでくれ。」

『はい』

ｼﾞｬﾐﾙ「また一段と大人びたな。」

『ありがとう』

こんな雑談をしているのも悪くないな。
だけど次の瞬間、少し意識を失うことになるのだ

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