5年い組の問題児は馬鹿ではあれど、鈍感ではないようです【忍たま乱太郎】

後輩に振られました ページ32

　「なっ、なんの音ぉ？」


　「花火かな?」

　「うわっ！？なにか踏んだ！」

　「痛いな！？僕の足だよ！！」

　「何これ？おいしそ〜！！」

　「ちょっとしんべヱ!それは僕の髪！！」
　




　案の定、下級生が動揺している。明かりを持ってきたほうが良かった。
　小さく舌打ちをした後、ぱっと表情を転換する。人は鏡。笑っていれば笑顔が返ってくる。


　『やぁやぁ落ち着け皆のもの！A先輩が――』
　
「じゅんこぉおお！！どこ〜？」



　……その声は孫兵だな？
　 どうやら、私にはまとめることが不可能らしいね!!

　

　「音がした方は、こっちだー！！――わぁっ！？」

　腰に誰かが衝突してきた。

　この声は……3年ろ組の神崎左門!！




　すかさず左門を抱き上げ拘束し、声を張り上げる。

　


　
『作兵衛ーーー！……三之介ッッ！！』

　
　「はっ……！A先ぱーい！！！！！

　もう捕まえてまーーす!!」


　遠くで、小さく作兵衛の声がする。

　さすが食満先輩の後輩！責任感が人一倍強い苦労人、戸松作兵衛!!
　

　「んぬぬ！？どっちだ〜！？」

　
私はじたばたと暴れる左門を左肩に担ぎなおすと、声をめいいっぱい張り上げた。


『さすが作兵衛ーー！！愛してるー！！！』


　
　「えっ、あ、愛しっ……！？すっ、すみませーーん！！」

　
『え゛っ……傷つくーーー！！！！』

　
　こんなに心臓が痛いのは、3年ぶりの合戦依頼だ…ふられた……作兵衛に、後輩に振られた…、。


　放目の焦点があわず、心状態に陥った私。突如、脳天に電雷が落とされる。



　「遊んどるバヤイか！！」

　『いっ！？』



　暗くて見えないけれど、絶対潮江先輩である。

　いつもなら3倍返しの肘鉄を食らわせる……いえ、食らえさせていただくのだけれど……


　しおらしく頭を下げる。




『潮江先輩……。しばらく旅に出ます。探さないでください……』


　潮江先輩は、はぁ？と首をひねった。



　「何を言っとるかお前は。さてはまだ寝惚けてるな?
まあ、とにかく行くぞ！お前たちもついてこい!!」


　「はっ、はい！！」



　『ふられた……後輩に振られた…、』



　心の状態は最悪。


　でも、少しは寝たので昼間の疲れはすっかりぶっ飛んでいる。
肩をぐるぐると回して、不敵に笑ってみせる。


　まぁまぁ、どんと来いや運動会！!

　今日は朝まで騒ごうぜー！！
　

始まりました。→←やっぱり唐突すぎる運動会

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す