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「まあ、保証はできないけど。
何しろ私はこの天女とやらの詳しい仕組み、全然わかんないしさ。
いつか、その妖術とやらが目覚めてしまうかもしれない。
だから、これは私からも約束してほしいかな」
唇の端が持ち上がる。目が細まる。
私は用意した言葉を諳んじた。
「くれぐれも、私を信じないこと」
ひゅっと乾いた空気の音は、数馬君が息をのんだ音だ。
周囲の痛いくらいの緊張に比例せず、私はゆったりと首を傾けた。
「もちろんそちらの約束は守るよ。
ありもしない疑いをかけられるのは、私だってごめんだからね。
でも、君たちは君たちのために、私のことを信じないほうがいい
きっとそれがお互いのためにもなりうるはずだよ」
私は、彼らの反応を確認しようとして―できなかった。
視界が、黒で埋まる。
「え」
辛うじて、何かが私を抱きすくめたことを把握する。
守るように、閉じ込めるように、縋りつくように。
何が起こっているのか、要領を得ぬまま私は瞬きを繰り返す。
「ごめんなさい」
耳元でささやく声はかすかに潤んで揺れていた。
そのせいで、何も言えなくなる。
「もういい。貴女は、もういい」
何とか首だけをそらして、彼女の姿を捉える。
確信した。 間違いない。
目の前にいるのは先ほど私をカツアゲした、謎のお姉さまだ。
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凛(プロフ) - 更新待ってます! (4月21日 0時) (レス) @page42 id: c045f3c206 (このIDを非表示/違反報告)
ほまりあ - めっちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます! (12月13日 17時) (レス) @page40 id: c2cc9f3cdb (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - らびさん» あぁあぁ…………!!私はなんて罪深いことを…!!すみません、レスが遅れました!!!これからもお待ちいただけると幸いです〜!!!コメント有難うございます!! (11月26日 21時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
らび(プロフ) - どうしよう、Sな伊作にハマりそうです😭とっても素敵♡ (11月12日 17時) (レス) @page28 id: a37f698238 (このIDを非表示/違反報告)
忍たま好き(プロフ) - 終わりなんですか? (11月4日 17時) (レス) @page39 id: 6c4f449978 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜 | 作成日時:2023年3月5日 0時