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「なんで僕に気がついたんですか?Aさん!」
『あははっ、私も直前まで気がつかなかったよ』
首を竦めて言うと、浦風くんはきょとんと目をしばたたかせた。
その無防備な表情が、なんともあどけない。
『うん、だって足音も聞こえなかったし気配も注意しなければ気がつかなかったよ』
「じゃあなんでっ……」
『数馬くんは両手が塞がっているのに、なんの前触れもなく戸が開いたから』
数馬くんが一人のときは、いつも一度座って盆をおいてから戸を開く。
それがなかったから、疑問に思った――というか警戒してから気配に気がついたのだ。
「……?」
「……あっ、そうか」
ぴんとこなそうな数馬くんと、納得したような顔の藤内くん。
……まぁ、私がただただ気配を感じとるのが苦手なだけというのは知らなくていい情報だよね。
「んー?Aさんは何がいいたいの?」
「いや、だからさ――」
二人で頭を寄せ合って学んでいる光景は、やはりほほえましいものだった。
それをみながら、ふと振り返る。
彼らの声が聞こえた気がした。
「こっちだぁあーーー!!!」
「いや、こっちだぁあーーー!!!」
「Aさんの居場所はぁ、」
「こっちだぁあーーー!!!」
「どっちも違ぇよ!!」
「今日も可愛いね、ジュンコっ……!」
騒がしくなりそうな予感に、私は膝を抱えて座り直した。
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凛(プロフ) - 更新待ってます! (4月21日 0時) (レス) @page42 id: c045f3c206 (このIDを非表示/違反報告)
ほまりあ - めっちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます! (12月13日 17時) (レス) @page40 id: c2cc9f3cdb (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - らびさん» あぁあぁ…………!!私はなんて罪深いことを…!!すみません、レスが遅れました!!!これからもお待ちいただけると幸いです〜!!!コメント有難うございます!! (11月26日 21時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
らび(プロフ) - どうしよう、Sな伊作にハマりそうです😭とっても素敵♡ (11月12日 17時) (レス) @page28 id: a37f698238 (このIDを非表示/違反報告)
忍たま好き(プロフ) - 終わりなんですか? (11月4日 17時) (レス) @page39 id: 6c4f449978 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜 | 作成日時:2023年3月5日 0時