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『一つ目、私の話をちゃんと聞いて!』



  「ちゃんと聞いてるぞ?」




 彼は心外だとでも言いたげに、眉根を寄せて首をかしげた。
 私はすかさず人差し指を突きつけて反論する。




 『はぁっ……あのね、君は会話のキャッチボールができてないんだよ!』



 「キャッチボール?バレーボールの方が好きだが、それも好きだぞ!」







 …………話が通じない。










 いけない、つい白目をかましてしまった。変わらずに輝く笑顔に、思わず溜め息をつく。
 うん、大丈夫。こっちの方が重要だから。こっちさえ聞いてくれたらもう良い。


 何とか区切りをつけて、再び口を開いた。







 『二つ目。
 私は天女だよ。信用ならない奴と、無闇に戦わない方が絶対良いよ。



 まあ、私を「天に還したい」んだったら返り討ちにするまでだけどね?』





 我ながら嫌な感じの言い方で、後味の悪いざらりとした物が口のなかに残る。
 けれど、これも本当にお互いのためだ。


……結構手酷く言ったな。落ち込んだかな。と、彼の様子を伺う――けど。






 真っ直ぐにこちらを見つめた目は、少しも揺らいでいなかった。






 「お前は信用ならない奴じゃない」






 意表を突かれて、思わず固まった。
 時間の空白を埋めるように、夜風が木々を揺らして吹き抜けた。

 どこまでも純粋で、どこまでも真っ直ぐなその目に見惚れる。
 心が縫い留められてしまったのだ。私は馬鹿みたいに、彼だけを見つめている。
 





 「お前からは嫌な感じがしないんだ」



 『嫌な感じ?』




 問い返すと、自信に溢れた笑みを浮かべて頷いた。






 「あぁ、お前は良い奴だよ、きっと」


 『良い奴って……』
 

 「少なくとも、敵じゃないってことだ!」





 彼の凪いだ声に、心を逆撫でされたみたいだ。ざわざわと苛立ちが募っていく。
 私はそれをなんとか押し止めながら、それでも彼を否定したかった。




 『分かんないじゃん、所詮勘は勘だもん』


 「これはもう勘じゃない。現にお前は私達の後輩を庇ったろ?」


 『それだって真意は分からないでしょ』




 
 

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設定タグ:天女 , 忍たま乱太郎 , RKRN   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 更新待ってます! (4月21日 0時) (レス) @page42 id: c045f3c206 (このIDを非表示/違反報告)
ほまりあ - めっちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます! (12月13日 17時) (レス) @page40 id: c2cc9f3cdb (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - らびさん» あぁあぁ…………!!私はなんて罪深いことを…!!すみません、レスが遅れました!!!これからもお待ちいただけると幸いです〜!!!コメント有難うございます!! (11月26日 21時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
らび(プロフ) - どうしよう、Sな伊作にハマりそうです😭とっても素敵♡ (11月12日 17時) (レス) @page28 id: a37f698238 (このIDを非表示/違反報告)
忍たま好き(プロフ) - 終わりなんですか? (11月4日 17時) (レス) @page39 id: 6c4f449978 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年3月5日 0時

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