検索窓
今日:22 hit、昨日:17 hit、合計:39,295 hit

ページ23

「A、A」




 とろりと温かな微睡みの中で誰かが呼んでいる。
暗闇に一筋の光が指すような希望。甘やかなその声は慈しみと憂いを湛えていた。



 その光に手を差しのべる。
 掴んだ―――と、思ったら。




 見知らぬ天井だった。



 『う゛…?あれ?』


 ここは、どこだろう。
 意識と記憶がぐしゃぐしゃで、思考の輪郭がぼやけている。


 「Aさん……?」



 聞き覚えのある柔らかな声が、問いかけるようにして私を呼ぶ。
 身体を起こして、その姿を確認する。


 「ちょっと!急に起き上がっちゃ駄目だよ!」


 『あ、ごめんごめん』


 背中に手を当てて、強制的に身体を布団に沈められる。

 慣れてるし、別に平気なんだけどね。

 眉尻を下げて、心の底から安堵したというような顔をしている伊作くんを見て、
段々記憶と脳がはっきりと整理されて機能していく。


 そうだそうだ。私、刺されたんだっけ。
まあ――刺されたというより、刺されに行ったというか刺したというか…。まあ、そこはどうとでも。




 「Aさんの回復能力は以上だね。出血ももう止まっている。
人間が臓器に穴が空いたら殆ど望みはないんはずなんだけど…。」



 不意に伸ばされた手が、前髪をかき分けて額に触れる。




 「うん、熱も下がっている。1日で意識を取り戻すなんて信じられないよ……。」


 『あ、ちょっとそれ。本気で気持ち悪そうな目だよね?傷つくわぁあ……』


 「全く……後でゆっくり話をしたいんだけど」



 何だか今日は冷たいな。口調が淡々としていて素っ気ない。
 伊作くんは小さく溜め息をつくと、立ち上がった。



 「君と話をしなければならない人がいてね。そっちの方が優先かな」


 

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (162 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
402人がお気に入り
設定タグ:天女 , 忍たま乱太郎 , RKRN   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 更新待ってます! (4月21日 0時) (レス) @page42 id: c045f3c206 (このIDを非表示/違反報告)
ほまりあ - めっちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます! (12月13日 17時) (レス) @page40 id: c2cc9f3cdb (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - らびさん» あぁあぁ…………!!私はなんて罪深いことを…!!すみません、レスが遅れました!!!これからもお待ちいただけると幸いです〜!!!コメント有難うございます!! (11月26日 21時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
らび(プロフ) - どうしよう、Sな伊作にハマりそうです😭とっても素敵♡ (11月12日 17時) (レス) @page28 id: a37f698238 (このIDを非表示/違反報告)
忍たま好き(プロフ) - 終わりなんですか? (11月4日 17時) (レス) @page39 id: 6c4f449978 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年3月5日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。