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「A、ごめんね…」
「…ううん、私がね、きっと不安にさせてるんだよ」
「ちがっ、」
「違くない。」
Aが被せ気味に言ってきたから何も言えなくなる。
「…それより北斗、そろそろ私の肩が大洪水(笑)」
そう言われて慌てて抱きしめてたAを離す。
「あぁ!ごめん!!」
涙を拭おうと目をゴシゴシすると
「ダメだよ目腫れちゃうでしょ!」
ってAは擦るのを止めさせたあと立ち上がってキッチンへ向かう。
戻ってきたAは保冷剤を巻いたタオルを持ってて。
「北斗って意外と泣き虫だよね(笑)」
って俺に保冷剤を渡しながらからかってきた。
「泣き虫で悪かったな」
「ううん、知れてよかった」
「…こんなの知らなくていい」
「ほっくんかわいくないぞ〜(笑)」
Aは笑いながら俺の頭をわしゃわしゃってすると
今度はちょっと切なそうに
「最後のワガママじゃないけど、北斗は幸せになってね」
って言うんだ。
北斗は、ってお前は?だとか
そこは
幸せなんかになっていないで。って言うんじゃないの?
俺ならそう言うのに…。
だとかはもう口から出てこなくて。
俺と一緒にいないなら、
違う人に幸せにしてもらってるAならば、
幸せになんかなって欲しくないとか思っちゃう俺なんかより
俺の幸せを願ってるAはずっとずっと強くて俺を愛してくれてるんだろうな…。
「北斗」
「ん?」
「いつもわかりづらくてごめんね」
「…なにが?」
「…ううん、なんでもない。」
「そっか。……A?」
「なに?」
「いつもありがとね。
……だから、ずっと覚えてたらだめかな…。」
君の声が、君の手君の匂い。
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作者名:やま x他1人 | 作成日時:2019年6月23日 0時