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「Aが甘えてくるなんて珍しくてつい」
「…ばか」
「恥ずかしがってる顔も見れてよかった」
「…。」
「ほら、おいで」
そう言って北斗は自分の腕を広げてくれるから、私は勢いよくその体に抱きついた。
ら、勢いがありすぎてそのまま二人で倒れて北斗の上に私が乗ってる状態になってしまった。
「…っ!」
「ほっくいい匂いする」
「…そりゃどうも。それよりこの体制どうにかしない?」
「ねぇ、もっと強く抱き締めて」
「おまえさ、」
「北斗も会いたかったよね?」
「…この体制でよく言えるよね。どうなるか分かってんの?」
「今は!今は抱き締めて…」
北斗は多分そういう行為に持っていきたかっただろうに私のワガママを受け入れてくれてぎゅーっと強く抱き締めてくれた。
もうそれだけでいいと思ったの。
体を繋げて確かめ合うのもいいけど私はこうやって抱きしめられる度に何もかも大丈夫だって、
北斗だけが私の不安を取り除いてくれればいいって
そう願えることが出来るの。
「あー」
「どうしたの?」
「蛇の生殺し状態…」
「あー(笑)」
「おまえなぁ(笑)」
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多分こんなこと言ったら他のメンバーは
「さすが北斗」なんて茶化すかもしれないけど
こうやって笑い合う度に本気で時が止まればいいのにって思うんだ。
…違う、本当はこの時間がこれからもずっと続けばいいのに。ってそう思うんだ。
さっきAを無理やり自分の方に向かせてその顔を見た時一瞬時が止まった気がした。
ずるいじゃん。そんな顔してるなんて予想もしてなかったよ。
君と付き合う前にも恋人はいた。
その時俺は幼いながらにも愛というものに対して全部わかった気でいた。
だけど、Aと出会って二人でいるようになって
それがどれほどちっぽけだったのか思い知らされた。
「A」
「ん?」
「好きでいてくれてありがとう」
Aといれば居るほど、色々な表情を見つけるほど、愛の意味が少しわかる気がするんだ。
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作者名:やま x他1人 | 作成日時:2019年6月23日 0時