ドルオタとドルオタ@sgi ページ9
キラキラと輝くステージの上の推しにペンライトを振る。周りに合わせて綺麗に向こうから見えるように。ステージ上で歌い踊る推しはすっっげえ可愛い。アンコールまで終えて会場内の電気が着く。周りの人達はペンライトを消して鞄へと片付けていく。会場内の熱気のせいなのか、身体が熱くなっているせいなのか 汗が頬を伝った。冷めぬ気持ちのまま隣でペンライト振っていたAを方を見れば同じ推しの名前が書かれているタオルで汗を拭っていた。
「なぁーA」
「どうした」
「推し絶対こっち見たよな」
「見た。絶対見た。目が合った。」
似たようなことを考えている俺たちの関係性は特にない。同じアイドルが好きで推しが同じで同じ学校なだけだ。ツアー中以外はほとんど話していない、そんな関係。
「2部の場所どこだっけ」
「多分前とおなじ」
「CD何枚積む？」
「6」
「チェキ3枚か」
「家にはCDあるんだけどね」
「布教用だから まぁ」
物販列に2人で並ぶ。少しずつ列は前に進み推しへと近付いていく。会場開く前に先に買っていたお陰で後に買うものはほとんどない。チェキチケ付きのCD通常版特装版セットを3つ頼む。はいどうぞ〜と渡されたCDを手提げの中へと片付けて推しの列へと並んだ。目の前に並んでいるのはA。グループ名が入ったパーカーを着てタオルを首から下げ手首にはバンドを付けている。どこからどう見てもオタクな格好。人のことは全然言えないんだけど。
次の方〜と呼ばれAは推しの前へと進んだ。少し距離があるから何を話しているのかは分からないけど何かを必死に話しかけていた。チェキチケ3枚、ポーズを変えて撮っていく。終わったのだろうか、何かを喋って頭を深々と下げ矢印の方向へと歩いていった。一瞬振り返ったかと思うと親指を立てて胸のあたりでポーズを取った。ナイスガイポーズだ。
次の方〜と呼ばれ俺も前に出る。
「俺ずっと応援しててさっきの公演も凄い良かったです！」
「ありがとう〜！さっきの子が次にくる人はずっと応援してる良いヤツだからって言ってたんだ」
「え、」
「いつもありがとうね」
撮りまーす、とぱしゃり。ぱしゃり。ぱしゃり。「え、あの」と続けようとする俺は剥がしによって強制的に剥がされた。そんな俺をにこやかに笑う推しは手を振って見送った。会場出口前、Aはプレゼントボックス前に待っていた。
⇸
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作者名：山 | 作成日時：2020年1月14日 4時
