結婚式 ページ27
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蘭に言われたことを朝も昼も晩も、よは一日中考えていればあっという間にタケミチくんとヒナちゃんの結婚式当日が訪れた。
あの日はなんとかその場は凌げていたものの、それ以降連絡も会うこともパッタリと無くなってしまった。
確かに、私は何度も「蘭と付き合えたら」と考えたことがある。けれど、今、自分の状況からして蘭とそのような関係になることができない。
馬鹿だとわかっている。本当に、呆れるくらい。でも、万次郎と再会してしまったことで蓋をしていた気持ちが溢れて止まらない。
『…はぁ』
そして、もう一つ頭を悩ませていること。
今日の結婚式は「行こう」と決意して朝しっかり起きたものの、ただひたすらに勇気がなかった。
タカくん、エマ、千冬くん、一虎くんも、きっと皆いる。
空いた12年がやはりとてつもなく怖くて。でも、ここで逃げたらまた同じだと思ってソファーから起き上がる。
『がんばれ、私…』
気合を入れて「メイクしなきゃ」と思って洗面台に向かおうとすると、ピンポーンとインターホンが鳴った。
『(…蘭かな)』
と、一瞬思ったけれどなんとなく違う気がした。
モニターを見ると、そこには何故か青宗くんが立っていた。
『なんで…』
高そうな黒いスーツを身に纏い、綺麗に髪を括った青宗くん。
恐らく、マンションの玄関は運良く入ることができたのか青宗くんはもう私の部屋の前にいた。
扉を開ければ画面越しでは伝わらない彼の美しさに思わず息を呑んだ。
「Aちゃん、行こう」
『…青宗くん』
彼は、私がこう怖気付くのを見越していたのだろうか。
いつもの、無表情な顔でそう言って来た。
「このままじゃ、本当にもう何も残らない」
『っどうして…』
彼は優しいから、そんな言葉を言われて驚いた。
彼だって、わかってくれるはずだと思っていた。でも、そんなのはただの小さな願いで。
「Aちゃんの気持ちは、痛いほどわかる。でもそれで終わらせたらただの同情だ。壊れたらやり直せばいいだけだろ。真一郎くんが死んだ後もそうだった」
青宗くんの真剣な言葉に、思わず頷いてだんまりしてしまう私。
顔を俯かせていたら、彼はそっと頭を撫でてくれた。
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水原カノ(プロフ) - くろしばさん» 嬉しい限りです( ; ; )拙い文章ですが、番外編でもよろしくお願いします…!(*´꒳`*) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - みきさん» そう言っていただけて嬉しいです…!まだ続きますがよろしくお願いします(*´-`) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
くろしば(プロフ) - いつも楽しくワクドキ泣きもしながら読ませていただきました!番外編楽しみにしています!応援してます!頑張ってください! (2022年1月22日 22時) (レス) @page50 id: ba268ba5be (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 番外編楽しみにしてます!この作品めちゃ面白かったです!頑張ってください! (2022年1月22日 16時) (レス) @page50 id: 23779c598a (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 茶子さん» 素敵なコメントありがとうございます(;_;) ティッシュの供給は間に合っていますでしょうか…?いつでもプレゼントします!(*´ω`*) (2022年1月15日 22時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水原カノ | 作成日時:2021年12月23日 17時