［完］もう二度と会いたくなかった【佐野万次郎】

場地くん ページ27

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『ばーじくん！』


「オマエ、暇人だなあ」


『だってお家いてもつまんないんだもん！』


「佐野家の次はオレの家かよ」


『たまには変えてみたのだ！』



唐突に、なんか久しぶりに場地家に行きたいと思い立って場地くんが住む団地を訪れた。

私の顔を見ては「ゲッ」みたいな顔をしたのはきっと気のせいだよね。



「で、真一郎くんとはどうなんだよ？」


『えー、それ聞いちゃう？』


「あ、ふられた？」


『そーですけどなにかー』



早速、場地くんの部屋に入って窓から侵入していた子猫ちゃんを見つけて愛でる。



「いいじゃん、オマエにはマイキーいるし」


『みんなしてそーゆーのなんで？』


「みんな？」


『エマもまんじろーも似たようなこと言う』



私が好きなのはしんいちろーなのに。

まんじろーなんてムカつくだけじゃん。



「え？マイキー自分で言ってんの？」


『うーん…というか、なんでしんいちろーなんだよみたいな』


「…ふーん」



なんだその返事は。

場地くんは小さい頃から私がしんいちろー大好きなのはもちろん知ってる。それが恋愛対象だって言ったのはちょっと前のこと。

もう場地くんはしんいちろーとは交流があんまりないみたいだけど、私の話は聞いてくれている。



「でもオレも、Aと真一郎くんって“恋人”って感じじゃねーんだよなぁ…」


『むぅ…もうこの話し終わり！！』


「あ、悪かったって」


『いいもん、そんなの私が一番わかってるし！』


「……泣いてんじゃん」


『泣いてないし』



ちょっと涙目なだけだし。



『こっち見んな！』


「急なA節」


『うるさい、だまれ』


「ハハッ、心配して損したわ〜」



不思議なんだけどね、私が口悪くてもみんな笑うんだよね。

変なの。普通はドン引きするのに。



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