クローゼット ２

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すっぴんてそんな、気になるもん？
いままで何人かとつきあってきたけど、そういやみんなすっぴんどうしてたんだろ？
まあ一緒に住んだことはないんだけど。
Aちゃん、実は化粧でばりばり変えてるタイプなんかな？ いやーそんな感じじゃなかったけどなあ。
たぶん、きにしぃなんだな。
うーん、と、考えてみる。
ああ。


「じゃあさ、部屋の電気消してろうそくつけるのはどうだろ？ あんまり顔見えないと思うし、きれいじゃない？」


われながらグッドアイデアじゃん？ ロマンチックだしいっしょにケーキもたべられるし！


「だめ？」
「……わかりました。すみませんへんなこといって」
「女の子だからそういうのもあるでしょ、よくわからないけど」



リビングに戻って、ろうそくを用意する。いい匂いのするろうそくも混ぜて、リビングは一気にムーディな雰囲気になる。おれんちかっこいいな。



部屋から出てきたAちゃんが、こまったみたいにソファの前で立っている。
コーヒーをいれておれがソファに座っても、なんとなく、みたいに立ってる。


「ほらAちゃんもこっちおいで」


って言ってから気づいた。
え、パジャマ姿、かわいい。でも、え。
え、なんで？ かわいいのに。え、なに、部屋が薄暗いからそう見えるのか？
ちょっと、えっちだ……。


「はい」
返事をしてちょっと首をかしげるAちゃん。
やばい、めっちゃかわいい。
おれは精一杯ふつーなふりをして言う。



「近い方が逆に見えないってことない？」
「どうでしょう」
「ま、そんなにきにしないで、たぶん、そんなにかおちがわないでしょ」


いやまって、かわいいよ？
残念ながらあんがいろうそくでも見えちゃったけど、全然かわいいよ？
って内心思いながら平気な顔をする。演技が役立っちゃうな……



「……めっちゃ化粧じょうずで顔全然ちがうかもしれませんよ」
「それはそれでおもしろいな」


薄化粧の方がたいへんって、女のひとよく言うもんね？
でも、ぜんぜん、ぜんぜんすっぴんもかわいいけど？



Aちゃんがおずおずと隣、よりちょっとキョリをあけてすわった。
うわ、うん、やばいな、隣にくっつかれなくてよかった。
ほら、あれだよ、あれ、ゆっくり仲良くならないとだから！
だからな！！って自分にもう一度言っておく。

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