クローゼット ２

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雑誌の仕事が終わって、このまま今日は帰ってもいいですよーなんてマネージャーから言われてじゃあ買い物しちゃおうかな、って思ってたら、デトロイトの店長からメールが来ていることに気づいた。「Aちゃんが転勤していなくなっちゃうから、今日送別会をするんだけど、まっすーこれないかな？」ってメールで。



そうか、Aちゃんお店からいなくなっちゃうんだ。
……連絡先、聞きたいな。


あーだめじゃん。
やっぱり完全に好きじゃん。



気づいたからには行動が早いんだ、おれ。
好きな子にはぜったい伝えたいし、ふりむいてくれるまで行動する。わりとそういうタイプなんだよね。


「いきます！ 場所教えてください」ってすぐメールして、送別会に紛れ込んだ。


久しぶりに会ったAちゃんは相変わらずかわいくて酔ってるのか少し顔が赤くて、
なんか目もうるうるしてた。おれがきたのにびっくりしてて、かんぱーいってしようと思ったら涙がぽろってこぼれてトイレに走って行っちゃった。


え、なんで？
瞬間的にいろいろ考えた。
おれが来ていやだった？ そんなに嫌われてる気はしないんだけど。
転勤が嫌？ そんなことでこのタイミングで泣く？
いや感情がふいに盛り上がったのかも。なんで？ もしかして……店長が好きだったとかないよね？ 店長とはなれちゃうのがつらいとか、ない、よね？？？


気になっちゃって、トイレの前までつかまえにいった。


「Aちゃん？」
「はい！？」
「具合悪い？？」
「あ、いえ、ちょっと」
「どした？」
「ちょっと」
「ぐあいわるい？」
「いえ、体調は大丈夫です」
「じゃあどうして泣くの？」


おっと、直撃しすぎたかな、っておもう。
でも店長とのことが気になっちゃってつい。
そうしたらAちゃんはちょっと考えて、決心したようなまじめな表情で言った。

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