いつでも一緒 2 ページ35
「Aがさみしいなら俺はなんだってするよ。抱きしめるしキスするしいつでも迎えに行くよ。だから怖がらないで。心配しないで。むり?」
そう言って、ゆっくりゆっくり髪を撫でてくれるから。
そこから気持ちがほどけて、また涙が出た。
「……むり、じゃない」
うわーん、て色気なく泣きながら、けいちゃんにしがみつく。
ああ、やっぱり、けいちゃんが足りてなかったんだ。
他の人に笑いかけたり楽しそうにしてたり話したりするけいちゃんを見てるだけじゃ、もう満足できなくなってる。
いつのまにこんなに贅沢になっちゃったのかな。
「俺さ、ちょっとわかるよ、Aちゃんの気持ち」
「ほん、と?」
「ずっと近くにいられないじゃん? 例えばAちゃんの仕事先でも、そばにいるのが俺だったらいいのにって、真っ黒な気持ちになることあるよ、俺も」
「けいちゃんが」
「あるよ、俺だって。優しいだけじゃないんだから」
そう言って笑う瞳がちょっとさみしそうで、思わず手をきゅっとつかんでしまった。
けいちゃんはわたしの手にくちびるを近づけて、
「一緒だよ。Aちゃんが寂しい時は俺も寂しい」
とささやいた。
「──くっつきたい」
「くっついてるよ」
「もっと」
すんすん鼻をならしながらつぶやくわたしを、微笑みながらタオル渡してくれてぎゅうぎゅう抱きしめてくれる。
いつも寄り添ってくれてありがとう。
ああ、けいちゃんが、どうかいつまでもそばにいてくれますようにって、焦がれそうなきもちで、くちづけた。
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作者名:由乃 | 作成日時:2020年10月27日 11時