Baby curuising love 3 ページ29
でも、けいちゃんはわたしを抱きしめたまま。
動かないでゆっくりわたしの髪を撫でる。
「けい、ちゃ?」
きれぎれになる声で呟くと、けいちゃんはそっと口の端にくちづけてから、言った。
「動いて、って、言って」
「?」
「お願い、って」
「なん、で?」
けいちゃんは答えずに耳をはむ、ってくちびるでくわえた。はむはむさわわってされて、ぞくっと快感が走る。中にはちゃんとけいちゃんがいるのに、動いてくれないから物足りなくてたまらない。
「お願いして?」
けいちゃんに、お願いするの?
わたしが?
「いつも我慢ばかりして、お願いの仕方忘れてるんじゃない?」
「がまん、して、ない、よ?」
「じゃあこれも我慢じゃないね」
けいちゃんがめずらしくいじわるでびっくりする。
真剣な目でわたしを見つめて、それから、ゆうううっくり動き出す。
「我慢て、なれちゃう、よね」
話しながら、けいちゃんはほんとにちょっとずつ動く。動かれないよりかえってつらくて、わたしはけいちゃんにしがみついて声を我慢する。
「俺の、せいだろうけど」
「あ、う」
「ちょっとずつ、お願い、練習しよ?」
なにを練習したらいいのかわからない。
ただ、なかでゆっくりとうごくけいちゃんがじれったくてきもちよくて、でももっともっと、ってなって、頭の中が真っ白になってくる。
「けい、ちゃ、ん」
「なに」
「あ、ね、もう、だ、」
「どうしてほしい?」
「や」
「言わないと分からないからね」
ちょっと余裕がありそうな声でけいちゃんが言う。少し悔しいけど、でもわたしはもう限界で、身体がふるえてきて、ちいさなちいさな声で、けいちゃんに言う。
「お、ねが」
「うん」
「もっと」
「よくできました」
けいちゃんはそういって、ゆっくりと、でも大きく動き出した。
目がくらむみたいに気持ちが良くて、わたしはもっともっとけいちゃんにしがみつく。
2人とも夢中になって。
けいちゃんが息を弾ませながら耳元で言う。
「ねぇ、もうすこし、わがままいっていーよ?」
「だって」
「彼女じゃない、から?」
「ん」
「でも、おれの、だいじな、たったひとり、だよ」
「あっ」
からだがびくっとふるえて光が降ってきて、意識が遠のいた。
けいちゃん、ほんとに?
信じていいの?
「Aだけが好きなんだよ」
って声が、頭の上から聞こえた、気がした。
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作者名:由乃 | 作成日時:2020年10月27日 11時