声が聞きたい........T.M ページ8
｢貴久くん、どうしてるのかなって｣
｢げんきだよ｣
｢声聞けたら安心した｣
｢よかった。Aも元気そうだね｣
｢うん、わたしは大丈夫｣
｢会えないと、不安になるね｣
｢そうなんだよね｣
｢おれも大丈夫だよ｣
｢気持ちは大丈夫？｣
｢いろいろあるけど、大丈夫｣
｢今日はすごく天気がよかったね｣
｢うん、どこかに一緒に行けたらいいのにって思った｣
｢めずらしい！！ いつか、行けたらいいね｣
｢元気があればなんでもできるぅ｣
｢猪木きたー！ ……でもホントそうだね｣
｢うん、Aも絶対気をつけて｣
｢手洗いうがいがんばるよ｣
｢今度会えたら歌歌ってあげよう｣
｢え、すごいサービスだ！｣
｢なんか、いまはそういう気持ち｣
｢会った時もそういう気持ちもでありますように｣
｢ふふふふふ｣
｢電話切りたくない｣
｢いいよ、朝までつないどこ｣
｢寝言聞こえるかな｣
｢いびきかもなー｣
｢……やっぱり切る｣
｢Aの弱虫！｣
｢じゃ、じゃあ貴久くんより後に寝て先に起きよう｣
｢がんばれー｣
｢気持ちがない！｣
｢ふふふふふ。でもね、会えなくても、気持ちは一緒だよ｣
めずらしく甘い言葉を言ってくれて、
ダラダラした会話に付き合ってくれる。
貴久くんはいつもわりと意地悪だけど、わたしがホントにダメだな、って時はわかってくれる。
人のことをよく見てる人だって、おもう。
自分のほうが大変だろうに、他人を気遣って。疲れちゃわないでね。
私には少しくらい当たったって大丈夫だよ。
今日はとても寒くて、1人は寂しい。
どうかまた、一緒にねむれますように。
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作者名：由乃 | 作成日時：2020年10月27日 11時
