NEWS日和 2 (ページ16)

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いつものあなた……T.M. ページ16

｢ねぇ、あの｣
｢ん？｣

隣に座るソファの上、寝ころんだまま顔を上げて、ん？て顔でわたしを見る。
その顔はいつもの増田くんで、お休み時間仕様でちょっと髪がボサボサしてたりおヒゲが少し濃かったり、だけど目がとっても可愛くてほよってしてたりする、そう、いつもの増田くんなんだけど。

｢ねぇ、あのさ｣
｢うんー？｣
｢なんでもないんだけどね……｣
｢？なんなんだよー｣

足でえいえい、ってちいさくキックしてくる。腰に当たってくすぐったいので少しずれる。そうしたらぐいっと足を伸ばしてまたけりけりしてくるので、がばっとその足に抱きついてみる。

｢わぁ、どーしたぁ？足なんかつかまえて｣
｢増田くんがけってくるからでしょ｣
｢だって話途中なの気持ち悪いじゃんか｣
｢んん、たしかに｣

そうだよね。
話しかけといてなんでもない、はないよね。

足を離して、ちょっとおつかれの顔をしている増田くんを見つめ返す。
白っぽくも見える金の髪。
お口むーってちょっととがらせて。
ほっぺがまたむにっとしてきて、ちょっと嬉しい。
めちゃくちゃ痩せちゃってたから、(かっこよかったけども)すごく心配だった。
がんばる時はがんばる人なのはもちろん知ってたけど、目の前でこんなふうに見てるのは初めてだったから。

｢なにー？あ、さては愛の言葉？間に合ってますけどー｣
｢もうーいつも冷たいねポンティ｣
｢そんなのわかってたろローズマリー……ん？どした？仕事のこと言うのめずらしいじゃん｣

ふいっと真顔になってわたしの目を見つめると、次の瞬間両足でぐいっとわたしの腰をつかまえてきた。
両腕もひろげてぎゅうっと、そのまま抱っこされてしまう。

｢きゃーやめてってびっくりするよ！！｣
｢ふはは、つかまえたぞ。さあはけ！はくんだ何考えてんだ〜？？｣

ニコニコ、ってしながら増田くんは言う。低い声、脅すみたいな言い方なのに笑顔が可愛すぎて脳が軽くバグる。

増田くんの隣にいるといつもそう。
簡単に脳がおかしくなっちゃう。
ぜんぶの考えが増田くんに行って、狭い狭い考えになっちゃう気がする。

でも増田くんはこんなに。
こーんなに。

｢増田先生｣
｢お、なになに、今度は先生？なんでも教えたげるーふふふ｣
｢恋人が素敵すぎて困る時は、どうしたらいいですか？｣
｢こいび、えーっ、俺そんな素敵〜？いや素敵だけど、素敵だけどねぇー、うーんそうねぇ、むふふふふ｣

って、返事全然帰ってこない。