祝福2 ページ8
「やばいー、A今日もメッチャ可愛い。なんでだよー」
そう言いながら、ガウガウ、と首元を軽く噛んでくる。くすぐったいから、やめてやめてって金色の髪をぽかすか叩くと、またふふふふって笑って、それから深く息を吸い込みながらもっとぎゅーっと抱きしめてくれる。耳元のピアスがきらりと光る。
あったかくて、つよい。
キラキラきれいで、心の中も宝石みたいな稀有なひとだ。
ねえ、このままでいてね。
きっと、昔のわたしみたいに、あなたのことナナメに見てひどいことを言う人もいるだろうけど。
純粋なあなたのことを、利用しようとする人もたくさんいるだろうけど。
このままでいてほしい。
まるでこどもみたいに、まっしろなゆうくんだから。
わたしが守れたらいいのに。
でもわたしの手は、こんなにもちいさい。
ゆうくんの両手を握って、肩から離した。くるっとふりかえって、顔と顔を見合わせる。
至近距離に、きれいなラインの二重。薄い色の瞳。すっとした鼻梁と、ほんの少しあきかけたくちびる。
きょとんとした顔でわたしを見て。
「Aちゃん……?」
「だいすきだよ、ゆうくん」
どうか神様、わたしのぶんの幸せを、彼に。
この世の全ていいことばかりが、彼に降り注ぎますように。
永遠に一緒にいることは、望まないから。
そんなことを祈りながら、天使みたいにきれいな人に、口付けた。
ゆうくんの甘い甘い香りが、祝福みたいにあたりにただよっていた。
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作者名:由乃 | 作成日時:2020年4月20日 15時