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周期……S.K ページ37

「今日はいったいどうしたっていうのよ」


シゲの、困ったみたいな声。
手にタブレット持ったまま、きれいなくちびるむーってとがらせて
こちらをちらりと見る。


「………言いたくない」
「それでいつまでも背中にひっついてんの? なんか微妙に
邪魔なんですけど」


タブレット、目の前のテーブルにポンとおいて、
シゲは背中越しにくっついているわたしに、背中からぐーっと
体重をかけてきた。
やわらかなくりくりの髪が、目の前に迫ってくる。
このままだと、目が合っちゃうかも。


「やめてよー!」
「なんでよ、くっついてるのは一緒でしょ」
「背中がいいの!」
「なんだよー、今日のAはわがまま過ぎない!?」


そういいながら無理やりこっちを振り向いたシゲは、
わたしの顔をのぞきこんでから、あ、とちょっとまぬけな声を出した。


「わかった」
「わからないよ!」


とりあえず顔を覆ってシゲの目線からかくして、
くるっと反対側を向いてみる。
わかんないよっていうか、わかんないでほしい。


「ほら、顔の色すんごい白いよ?」
「もともと色白なの!」
「いつもより減らず口が三倍多いし」
「普段もいまも減らず口なんて言わないもん」
「なーにをそんなに抵抗するのよあなたはさあ」


そう言いながらシゲは困ったみたいに口元に手を置いて、
ためいきをつく。


「思春期の中学生の男女じゃないんだからさあ」
「そうだけど」
「もう付き合ってけっこうたつから、Aの周期もそれなりに
わかってきてるんだけど」
「そういうことも言わないで!」


なんだかめちゃめちゃ恥ずかしい。
だけど、生理の時期にちょっと変な自分になってしまうことは
なかなか止められなくて。
最近ではシゲに対しても気が緩んできたのか、ついつい、
迷惑をかけてしまう。

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作者名:由乃 | 作成日時:2020年4月20日 15時

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