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おくすり 2 ページ36
ニコニコ笑いながらそう言って、けいちゃんは私の手を取って
自分のくちびるに触れさせてくれた。
やわらかい。
あったかい。
あーなんだかすごく、安心する。
｢ねえ、けいちゃん｣
｢なに？｣
｢けいちゃんて、お薬みたい｣
｢おれお薬、なの？｣
そう言いながらも嬉しそうに笑って、けいちゃんはわたしの指にそおーっとキスをした。
そんなふうに大切に大切に扱ってくれる人に、これまで出会ったこと無かった。
生理なんて毎月来る、どの女の子にだってあることなのに。
君は特別だよ、って、全部で教えてくれる。
どんなときも、そう伝えてくれる。
おおきな人。
｢けいちゃん大好き｣
｢俺も、Aちゃん大好きだよ｣
｢えへへ｣
｢痛いの全部、治してあげたい｣
そう言うけいちゃんの声だけで、憂鬱の半分は、飛び去っていった気がした。
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作者名：由乃 | 作成日時：2020年4月20日 15時
