おんなのこのひ 2 ページ33
「ねぇ、Aさん」
「ごめんなさいー」
「いやいいんだけど、ごめん、Aさん、もしかして今日、おんなのこ?」
「…………そう、です」
「やっぱりなー」
そう言うと、わたしの頭をぽんぽん、て叩いて、増田くんは背中から離れた。
それからエアコンを弱めて、目の前にテレビのリモコン持ってきてから、お薬飲んだ?って聞いて、ノンカフェインのお茶をいれてくれた。
「そういうのは早く言ってくれないと」
「……別に病気なわけじゃないよ」
「女の人のお仕事中でしょ」
自分の分の牛乳(可愛い)のマグカップを横に置いてから、わたしを抱き上げて膝の上に乗せてくれる。
2人でゆっくり、ソファの背もたれに寄りかかる。
「あ、くっついてるの嫌だったりする?」
「大丈夫。うれしい、です」
「ん」
頭をゆっくり、なでなでしてくれる。好きな番組見ていいよー、なんて優しいこと言って、自分はスマホ眺め始める。
「増田くん」
「んー」
「いつもありがと」
「いや、わかりやすくておもしろいよ、Aって」
くすってわらうと、増田くんはなんだか眩しそうにわたしを見て、言った。
「いつもは澄ましてるのに、そんなこと考えてんだー、って、おんなのこのとき、わかるよね」
「……それは内緒にしてください」
「誰に言うんだよ」
くすくす笑いながら、増田くんが髪を撫でてくれる。
あったかい。
かっこいいからだけじゃなくて、なんか、こういう、やわらかいとこ、好きなんだ。
「なんか、ねむくなってきたかも」
「俺も寝ちゃうかもー」
トゲトゲした言葉も心もまるーくつつまれて。
わたしは増田くんとそのまま、夢の世界に、出かけてしまった。
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作者名:由乃 | 作成日時:2020年4月20日 15時