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となり……K.K ページ31

自分の体温でぬくまった布団にくるまっていたら、夢を見た。
なんだか体が重くて、あつくて、なんだろうと思っていたら、小山さんが一緒にベッドの中に、いた。


「重いよ、小山さん」
「えーでも、くっついていたいんだけど」
小山さんはそう言って、私の汗ばんだ額にさわる。前髪を指ですこしといて、そこにくちびるをおとす。

「汗かいてるからきたないよ」
「なんでよー、平気」
そう言ってわらう小山さんの目元に、私も指を這わす。涼やかな目元。優しげにわたしを見る瞳。
安心する。
大丈夫だ、となぜか思う。

「あんしん」
「ほんと? 嬉しい」
たくさん話さなくても通じる。それがわたしも嬉しくて、くすっとわらってしまう。そしたら小山さんはもっと嬉しそうな顔でわたしを見る。

「でも重い」
「でもくっついていたいから」
わたしの言い方の真似をして小山さんが言う。
「だめ?」
首をかしげながら、手はゆるめない。
わたしの足に絡まる長い足。抱き枕みたいにわたしを抱き寄せて、すこし体重かけるみたいにしてる。
ぴったりくっついた身体が、やっぱり、安心なのだ。
重いけど。

「うつると困るよ」
「Aの菌ならどうぞ歓迎」
「ダメだってば!」

あれでも、わたしなんの病気だっけ?
風邪だったかな?
思い出せないな。

「大丈夫。隣にいるからね」
「ありがとう」
「大好きだからね」
「うん」

え、あれ、わたし、あれ?
小山さんとあれだっけ???



「Aさん、Aさん?」
「う、は、はい?」


重いまぶたをがんばって開けると、
目の前に白衣を着た小山さんが立っていた。……あれ?

「ごめんねー、ちょっと熱測らせてね。……ん、まだあるね。でもだいぶ下がってきたよね。もう少しがんばろうね」
そう言って、汗ばんだ額や首元をタオルで拭いてくれた。

あ、ああ。
夢見てたのか。
ぼうっと小山さんを見るわたしに、小山さんが心配そうに声掛けてくれる。
「なにかしてほしいことある?」
「となりに」
ちいさな声でそう言いかけて、あ、だからさっきの夢だってばと思い出す。


「Aさん?」
「いえ、特に」
首を振ると、小山さんはすこし困ったような顔でわらって、わたしの前髪を指ですくと、ちいさな声で言った。

「大丈夫、となりにいるからね」

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作者名:由乃 | 作成日時:2020年4月20日 15時

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