.血液検査2 ページ30
先生こそ大丈夫なのかーい?
と思ったけど、そんなこと言えないし。
私はとりあえず、にっこり笑い返しながら言った。
「気持ちは元気です。ここの病院、とても居心地いいですし」
「居心地かー」
それからうんうん、と自分でも頷いて
「わりといいよね、ここ」
と言った。
「せんせ、それ、ここで言っていいやつですか?」
思わず小さな声で聞き返すと、加藤先生ははっとしてまたオロオロする。な、なんだか可愛い。
「大丈夫です、内緒で聞きました」
「う、ありがとう」
そう言うと、加藤先生はひとつため息をついてから、情けなさそうに自分の頭をポリポリして、笑った。
「Aさんには変なとこばっかり見つかるなあ」
「え、いつもじゃないんですか?」
「ひでーなあ、そうでもないんだけどな」
そう言ってから、2人でくすくす笑ってしまう。あ、歯並びまでキレイな人だ。イケメンて何もかも整ってるんだなあ。
「じゃあまた明日」
そう言って加藤先生は立ち上がる。
「先生聴診器まだここにありますよ」
「あっ」
加藤先生は驚いた顔をしたあと、唇を噛みしめながらわらいをおさえつけて言った。
「これも内緒で」
「ここからは料金がかかります」
「じゃあツケで!」
とんとん、とまた私の頭をやさしく叩いて、加藤先生は笑いながら、行ってしまった。
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作者名:由乃 | 作成日時:2020年4月20日 15時