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ミニミニノンリアル Y.T ページ26

「はーい、今日のお熱はどうかなー?」
よく通る声が響く。少し高くてキレイな声の手越先生の回診。声は大きすぎるけど、ちょっとのことでいろんなことわかってくれる有能な先生、ってイメージだ。

「7度2分、かわらないです」
「なるほどなるほど、微熱、と。つらいとかある?」
「んー、暑くてちょっとだるい、のはあるかな」
「だるいのはキツいね。んー、でも原因これだけじゃわかんないな」
むー、とアヒルみたいな口をして、その下に人差し指を当ててる。無駄に可愛いな。いや、無駄とかないけども。

「微熱にちょっと慣れてきました」
「あらら、慣れるのかわいそよ。もっと続くようなら検査も視野に入れてね、ちゃんと考えるからね。慣れちゃわないで」
ちょっと曇りがちの表情でこちらを見る。曇った顔でもやたらにキレイなお顔だ。看護師さんたちがきゃあきゃあ騒ぐのもわかる気がする。
「今のところ、血液検査でも心配なところ見つからないし、熱って多少のことで上下したりもするから、あんまり気にしすぎないでね。でも自分のことはよく観察してて」
「わかりました」
「よーし、Aさんはいい子の美人ちゃんだなー」
軽い口調ですらすらっと言うので、つい「はいはい」って感じでこちらも流してしまう。美男に美人と言われるとはうれしいけどね!

「じゃあまた来るよっ!」
「はーい」
なんだか友達みたいな感じだけど、
お隣の人と真面目な調子で話してるのを聞いたことがある。何を話してるのかまでは聞こえなかったけど、
落ち着いたトーンでゆっくり話してた。ここまではわかりますか?とか、きちんと診ていきますので、って力強い言葉も聞こえてきた。
それからいつもみたいなトーンで
「私と----さんなら大丈夫、良いタッグで挑めますよ!」って明るいキッパリした声で言ってた。
あんなお医者さんだと、安心だよなーなんて何となく思ったことを覚えてる。

「あ、退院したらデートしようねー!」
ははは、冗談好きだなー。
どこまでも明るいなぁ。
ウインクして行ってしまう手越先生の後ろ姿、なんとなく行って欲しくないなーなんて気持ちで、見送った。

あとがきという名の言い訳→←ミニミニノンリアル K.K



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作者名:由乃 | 作成日時:2020年4月20日 15時

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