ヤキモチ２ ページ15
だけど、電話がかかってきて、
「Aちゃーん、会いたかったよー！！！ いつ会える？」
なんて聞かれるともう、全然何にも言えなくなっちゃって。
すぐに頭の中で空いている日を探し出してしまうわたしだったりする。
でも今度こそ、今度こそ、いわなくちゃ！
いつまでもぐずぐず考えるのはもういやなの。
これでもわたしにもプライドはあって、いつまでも 敗北感に苛まされるのは嫌なんだ。
だから。
☆☆☆☆
手越祐也というひとは、いったいどうしてこんなにも。
「Aちゃんのダーリンだよーん」
「そういうことじゃなくて！」
わたしが声を荒げても、祐くんは全然気にしないわけで。
一瞬だけきょとん、とした顔をして(またそれがめちゃくちゃ可愛いお子様顔で、わたしの胸は無茶苦茶になる)それからパァッと笑顔になって、わたしに言う。
「かーわいいー、なにその声。どうしたの、なにか怒ってるの？」
なにをどうしても、可愛いの範疇に入れてくれる、やたらに度量の広い祐也さんである。とにかく優しい。
コンデンスミルク並みに甘い。
よく通るうえにすぐ感情をのせられる声がまた、心の隙間にまでジョワっと入り込んでくる。
「怒ってるんじゃなくてね？」
「うんっ！」
「えっと」
「なになになに？」
本気で、心の底からアナタをオモッテマスヨという顔でこちらを見てくれる。
なんだか、さっきまで考えていたことがバカみたいなわけで。
それでもおもってたことを言わないと、同じことの繰り返しになっちゃう気がするから、がんばって勇気を出すことにする。
「えっとね」
「うん？」
「どうして、どうして、祐くんは、そんなに、か、かわいい、の！？」
「………………」
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作者名：由乃 | 作成日時：2020年4月20日 15時
