06. ページ6
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「本当にNYへ行っちゃうの？」
窺うように雅治を見ると
「そうだよ」
少し自慢気に、ニッと笑って見せた。
もしかして、私がすごく意識しているだけで、雅治は私と別れたことなんてすでに忘れてしまっているのかもしれない。
……そりゃあ、そうか。
雅治は、素敵な奥さんをもらって
結婚しているんだし。
私が勝手に雅治に対して複雑な感情を持ち続けただけで、雅治からしたら、4年も前に別れた私のことなんて、ただの思い出の1ページぐらいだったのかもしれない……。
大体、私と同じように気まずい感情を持ってたりしたら、こんなに明るく話しかけてくるなんてないもんね。
なんか、私って自惚れてるというか…
ちょっと、恥ずかしい人になってない…？
だって、雅治が話しかけて来たからって
別に深い意味なんかないかもしれないし…
もし、何かあると仮定したとしたら
…それは雅治が結婚した後も私のことを少なからず思っているということが前提で…
そんなこと、
間違えてもあるはずなんてない……。
「…なんか、ごめん……」
「ん？なんで謝ってるの？」
「理由は聞かなくていいから、
とにかく謝らせて…」
理由なんて説明できない。
だけど、謝らなくちゃ
なんとなく自分の心の中がモヤモヤして
落ち着かない…。
悲劇のヒロイン気取りで
申し訳ありませんでした…。
ここは何も聞かずに謝らせて。
「……ごめんね」
「ん〜…、よくわからないけど
わかった…ってことにしておくよ」
肩を竦めながら、そう言ってくる
雅治の昔から変わらない笑顔に
私は素直に感謝した。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年12月7日 22時
