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…あれ？と思いながら顔を上げると
口元を手で隠すようにしながら
顔を背ける翔ちゃん。
なで肩が揺れている…ってことは
翔ちゃん、笑っているの？
「翔ちゃん！？」
え、なんで？
私、笑われてるの……？
そりゃ、いきなり忘れられない女性がどうとか、突拍子のないことを言いだしたことはわかってるけど………。
でも、だからって
「そんな、笑わなくてもいいでしょ！」
『ごめん、ごめん…。
でも、なんかうれしくって……』
え？うれしい？
どうして、うれしいの？
意味がわからず、今度は私が首を傾げた。
『Aが、過去の俺の恋愛とか気にしてくれているのかと思うと』
「…え？うれしいの？」
予想外…というか。
鬱陶しがられると思ってたのに………。
“不安になるぐらいなら、聞いちゃえばいいのよ。きっと、櫻井さんならそんなAの気持ちを丸ごと抱きとめてくれるって”
さおが言っていた言葉を思い出した。
さお……。
さおが当たってるよ………。
翔ちゃん、なぜか喜んでる。
もしかして、さおや修くんの言うとおり
私が悩んでいることって
取り越し苦労だったの？
案外、あっさりと聞けば
翔ちゃんは何も気にせず
過去の恋愛遍歴だとか
話してくれたりするのかな？
……いや、でも、私的には
聞きたくないというのもあるけど…
『A…、聞きたい？』
聞きたいと言うのは、もちろん…
『忘れられないくらい好きな人が
俺にはいるのか……』
「えっ…、え〜っと……」
聞きたいと言えば聞きたい。
その理由は、気になるから………。
だけど、聞きたいという気持ちと同じくらい、聞きたくないという気持ちもあって……
私は、はっきりと聞きたいとは言えなかった。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年12月7日 22時
