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『今日、俺のほうが早かったから、ちょっと頑張って、晩メシは作っておいたから』
「え？」
そう言われれば、微かに匂ってくるいい匂い。
『まだ、料理ができあがるまでもう少しかかるから、Aは部屋で着替えてゆっくりしてな？』
そう言うと、翔ちゃんはキッチンへと入って行った。
仕事から帰って来て、誰かが作ってくれる料理を食べれる嬉しさ…
だけど、それと同時に、いつもとは違う翔ちゃんの行動に、やっぱり翔ちゃんは何かに気づいていると思った。
“ちゃんと、櫻井さんに話しなさいよ！”
別れ際に、念を押すようにさおに言われた言葉が脳裏に浮かぶ。
先延ばしにしたところで、何の解決にもならないし、それ以前に私と翔ちゃんが付き合ってることが、ユミさんにばれているということも話さなくちゃいけない。
何から話したほうが、翔ちゃんに分かりやすいのかなぁ…
う〜ん、どうしよう…
えーと、えーと…
『A？』
「っ、翔ちゃん！？」
すぐ後ろから聞こえた声に
飛び上がるほど、びっくりした。
『突っ立ったままで、どうしたの？』
「あ、、」
『もう、着替えに行ったと思ってたら、すげえ難解問題を解いてるみたいな顔して立ち止まってるからさ』
「え…？」
じ〜っと、私の目を覗き込むみたいに見つめてくる翔ちゃんの眼差しは、私が何を隠しているのかを探ろうとしているのが表れている…
ここで誤魔化したところで
また、翔ちゃんに余計な誤解を生じさせるだけかもしれない。
そう思い、私は一つ息を吐き出すと、覚悟を決めた。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年12月7日 22時
