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「ちょっとさおり、おまえ落ち着けって」
修くんが、さおをなだめるようにして話しをしてくれている。
そんな横で、雅治が話しかけてきた…
「元気そうだね」
「うん、元気だよ…」
「あのさ…そんな気まづそうな顔しないでよ」
「……」
そんな風に言われると、余計どんな顔をするべきなのかが分からなくなる―――…
「だから、そんな顔するなって。
俺は、元気そうなAを見れて嬉しいんだから」
「う、うん…」
「だけど、タイミング悪かったみたいだな」
「……」
「修と知り合いなの？」
「……うん、私達、三人は幼馴みで幼稚園の年少さんからのお付き合い」
「そうなんだ…すげぇ笑」
雅治は、ごく普通に私に話しかけてきた。
でも、一度好きになって付き合った相手というのは、やっぱり時間が経過したとしても、少し気まずいもので………
その時になって、ふと気づいた――…
翔ちゃんも、あの女性に対してこんな風に思ったりしたのかな？って―――…。
それと同時に、一度別れた相手にこんな風に話しかけるのって、すごく勇気がいることなんじゃないかって―――…。
私が逆の立場だったなら、昔付き合っていた相手に自分から話しかけるなんてことできない。
相手に対して失礼だとわかっていても、絶対に避けてしまうと思う。
それなのに―――…
大人の対応で、普通に声をかけてくれているかもしれない雅治に対して、きちんとした受け答えをしない自分の態度が、とても子供じみたように感じた。
「実はさ……」
雅治が、ちょいちょいと私を手で軽く呼ぶと小声で話しだした。
「今日ここに来たのは、俺の送別会を修がしてくれるって言ったからなんだよ」
「え、送別会…？」
「あいつ、俺にお世話になったからって言って、二人っきりだけど送別会をさせて欲しいって…本当、優しいヤツだよな？」
「うん…って、雅治…転勤するの？」
「そう」
「どこいくの？」
「聞いて驚くなよ、アメリカのNY…笑」
“NYに行くんだから、俺と会ったからってそんなに気にするな”と言っているように思えた。
あえて口に出して、雅治は言わなかったけど………
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年12月7日 22時
