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「でもさぁ…」
「ん？」
「俺は、櫻井の場合は違うと思うよ」
「え？」
「普通の男なら、過去のことをいろいろ聞いてくる女って、鬱陶しいと思ったりするけど…
あいつの場合、Aがそんなこと考えているって
知ったら逆に喜びそうな気がするけどなぁ」
「…喜ぶ？」
翔ちゃんが気を悪くするというのは
簡単に想像つくけど
喜ぶというのは全く想像できないんだけど……
「あー、Aに対する櫻井さんを見ていると
私もそんな気がする」
トイレから戻って来たさおが
話しに参加して来た。
「Aは、誤魔化したつもりでいるけど、きっと櫻井さんはAが隠し事してるって
気づいているよ？」
「俺もあえて追求しないだけだと思うな」
たぶん、二人の言うとおり
翔ちゃんは私が誤魔化したことに
気づいている。
きっと、翔ちゃんからしたら
追及したところで私が言わないと
思ったのかもしれない。
「気づいているなら、早く話さないと
櫻井に余計な心配させてしまうんじゃないの？」
「う、うん…」
修くんの言うとおりだ。
翔ちゃんに聞くのが怖いというだけで
この話を誤魔化したって
私の中から不安な気持ちが
消えることなんかない…
聞かなければ、これから先
ずっとその気持ちを持ち続けることとなる。
「ねぇ、聞いていい？」
「ん？」
「……翔ちゃん、こんなことを
ウジウジ気にしている私のこと
嫌いにならないかな？」
かなり真剣に聞いた私。
だけど、二人はキョトンとした顔をしたかと思うと、なぜか大笑いした。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年12月7日 22時
