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「ちょっと、トイレ行って来るね。」
さおがお手洗いに行ったスキに
私はコソッと修くんに聞いてみた。
「修くん…私の気持ち分かるの？」
「わかるよ。だって、今の俺って
そういう感じだから」
「え…？」
フッと、いつもの修くんとは違う
寂しそうな表情に
私は修くんのことを思わず見つめた。
「俺達って、小さい頃から
ずっと一緒だっただろ？」
「あ、うん…」
「いろんなこと話したり、笑ったりしてさ…。
最近、さおりと一緒に会う機会があると
すげえウキウキする自分がいたりして
ちょっと戸惑ってる…」
「え？ じゃあ、修くんはさおのこと……」
修くんはビールのジョッキを持ち上げ
グイッと飲むとフッと笑った。
「好きだよ…
昔から姉御肌のさおりが好きだった。」
「えっ、そうだったの？！」
「でも、それが、自分の中で
よくわからないと言うか…
踏ん切りがつかなかったと言うか…」
まさかの修くんの発言に
私はドキドキした。
だって、修くんはさおのことが好きで
さおも優ちゃんと遊んでくれる修くんのことを
頼りにしていて――…。
ひょっとして、二人は………
あれ？
でも、修くん…
今、ふん切りがつかなかったって
言わなかったっけ…？
「修くん、ふん切りがつかなかったの？…」
「だから、俺も怖いんだ…
Aと一緒だよ。」
「……」
「俺らは、ずっと、ダンナとさおりが
付き合っていたのを見てただろ？
結婚した当初、二人がどれだけ幸せだったのかも目の当たりにしてたわけ。だから、不安なんだ…」
「……」
「別れたと言っても、さおりの中で本当に結婚は終わったことになっているのか。
もしかしたら、元ダンナが
『よりを戻してほしい』と言ってきたら
さおりは『優には父親が必要だから』とか言って
簡単に元の生活に戻っちゃうんじゃないかとか
いろいろ考えるわけ……」
「修くん…」
初めて聞いた、修くんの気持ち。
私は、翔ちゃんと一緒に暮らしている。
そんな私でも、翔ちゃんの過去が
気になるんだもん。
修くんは、もっと不安だよね。
同じ悩みだとしても…
私と修くんの場合は、なんとなく意味合いの大きさが違う気がした。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年12月7日 22時
