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「それで、櫻井さんには何も聞けなかったの？」
「うん…」
居酒屋で、隣りに座っていたさおが
ハァ…と大きくため息を吐いたかと思うと
ビールをぐいっと飲んだ。
「思い切って、聞けばよかったのにな」
私達の向かい側に座ってる修くんが
ボソッと言った。
「そんな簡単に言わないでよ」
「そうだよ、元はと言えば修くんが
櫻井さんに余計なことを言ったりするから
いけないんだよ！」
「ごめん、あの時は俺もいろいろ焦ってて……、」
さおに怒られて
シュンとする修くんを苦笑して見てると
さおが聞いて来た。
「だけど、どうして櫻井さんに聞けないの？」
「…聞けるわけなんてないじゃない。」
「ん？」
「だって、過去のことだよ？
翔ちゃんに昔好きな人がいたかどうかなんて
私が聞いたら、まるで…」
「櫻井さんの気持ちを疑っている…ってこと？」
さおにあっさりと言われて
私はビールを飲みながら、コクリと頷いた。
「まあ…ね。
Aのその気持ちもわからなくもないけど…」
「でしょ？分かるよね？
だけど、それ以上に
もっと気になることがあるのよ…」
「もう一つ…って？」
「あのね…怖いの…」
「怖いって？」
さおは不思議そうな顔で
私を見つめた。
さおの顔を見ると
なんとなく言いづらい感じもしたけど
私は正直な気持ちを話した。
「あのね…怖いっていうか
聞きたくないというか…
翔ちゃんに、ずっと想っていた人がいたって
思っただけで……
なんか、すごく苦しくて…。
私も疑うわけじゃないけど
今もその人のことが好きなのかな？
…とか、いろいろ考えちゃうの」
「もう、Aは、昔から心配性だよね」
私のわけわからない気持ちを
さおは笑い飛ばした。
だけど、以外にも修くんが
「あ、でも俺…その気持ちわかる気がするな…」
と、ボソッと言った。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年12月7日 22時
