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店員さんがオーダーを取って
私達の席から去ると
二人の間に沈黙が流れた。
さっきから、ずっと私の頭の中に浮かぶのは
どうして私に声をかけてきたのかという疑問。
「あなたも大変ね？」
「え？」
何に対して大変なのかがわからなくて
キョトンとした顔で彼女を見つめてしまった。
「女性って、せっかくの休日でもいろいろとお家の仕事をしなくちゃいけないから、ゆっくり休んだ気がしないわよね？」
「あ…はい……。」
何を聞かれるのか分からなくて
ちょっとビクビクしていたせいか
突拍子もなく意味のわからないことを聞かれるとムダに焦ってしまう………。
「私もあなたと同じように働く女性の立場だから、良くわかるわよ…」
「そ、そうですか…」
『お待たせしました』と
店員さんがカプチーノを持って来て
二人の前に丁寧な仕草で置いてくれた。
そして、『ごゆっくりどうぞ…』という
言葉を残して、去って行った。
彼女がカップの持ち手に指をかけると
カップに唇を近づけた。
ただの飲むという行為なのに
なぜかその仕草は綺麗な動きをしていて
私はその一連の動作を
ジッと見つめてしまっていた。
「どうしたの？飲まないの？
美味しいわよ」
私の視線に気づいたのか
彼女はこっちを見ると
にこっと優しく笑った。
「あ、はい」
焦りながらも、カップに口をつけて
カプチーノを一口飲んだ。
「美味しい…」
「でしょ？」
自然と口から出た言葉に
彼女は満足そうに微笑んだ。
「ここの売りは、このカプチーノなのよ。
後は、ケーキも美味しいの。
何か頼む？」
「あ、いえ…」
「そう…」
彼女はフーッと息を吐くと
持っていたカップをソーサーへと置いた。
その時に響いたカチャという音が
なぜかやけに私の耳に残った。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年12月7日 22時
