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んっ、く、苦しい………
突然の出来事に私はパニック状態。
海に落ちた時のことを思い出して、
とにかく必死でもがいた。
でも、あの海に落ちた時以上に、まとわりつく浴衣のせいで体の自由が利かない。
イヤ、怖い！！
体が重くて、どうにもこうにもならない……
助けてっ！翔ちゃん…！！
その時、お腹の辺りをググッと持ち上げられたかと思ったら、すぐに私の体は浮上した。
「ぷは―――っ…」
『ちょっ、大丈夫！？』
翔ちゃんに吊るされる様な状態で助け出された私。
「はっ…はっ…はぁ――…ｯ」
酸素を肺に送り込むみたいに、
私は口を開けっぱなしにしで、呼吸を繰り返した。
つい先日も、海で溺れかけたけど。
露天風呂で溺れかけたなんて、人生で初めての体験。
『A、大丈夫！？』
あたしを抱え上げた翔ちゃんが、心配そうが顔を覗きこんできた。
「私…、また…溺れて、今度こそ…死ぬかと思った…っ」
目に映った翔ちゃんの顔を見て、安心したせいか泣きそうになって、彼の腕をギュッと掴んだ。
『もう、びっくりさせるなよ〜』
「……ごめん」
『だけど、どんだけ…Aカナヅチなんだよ？(笑)』
「……」
『露天風呂で溺れて死んだら前代未聞だぞ(笑)』
「……、」
『今日のイチメンは、ある温泉旅館の露天風呂で溺死した事件について検証したいと思います。』
月曜日の番組を真似て、ニュースキャスターになりきった声でそんなことを言う翔ちゃん。
『今回の温泉旅行…。いったいカナヅチの彼女に何が起きたんでしょうか。』
そう言った後。
アハハ…って、
可笑しそうにお腹抱えて笑ってるけど…
私だって、びっくりしたんだから…
怖かったし、死ぬかと思ったんだから…
「そんな、バカにして、笑わなくてもいいじゃない！」
私は大きな声でそう言うと、掴んでた翔ちゃんの手を離して、クルッと後ろ向きになった。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年6月18日 0時
