我慢してた涙 ページ17
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ーピンポーン、ピンポーン、ピンポーンー
玄関のチャイムが何回も鳴る音がして
「あの人達、もう帰って来たのかしらね。
もっと、ゆっくりしてくればいいのに…」
海さんが、苦笑いしながら玄関の方へと行った。
海に落ちた修くんと大野さんは、近所にあるスーパー銭湯へと出かけていて、そんな二人が慌ただしく帰って来たんだと思った。
だけど、目の前に現れたのは…。
「え、あ…ど、どうしたの！？」
そう言った私に困ったような顔した翔ちゃんが、私の前まで来てしゃがみ込んだ。
『仕事に戻ろうと思ったんだけど…』
「うん、」
『Aが心配で、仕事に集中できそうもないから…』
「翔ちゃん、……」
『ムリ言って、少しだけ時間空けてもらった』
「、、…」
『港に戻ったら、もう誰も居なくて…Aの携帯にかけたけど通じないし…』
「……携帯…水没しちゃったから」
『そうか、携帯水没しちまったんだよな。』
「…うん」
『俺、そんなこと考えつく余裕もなくて…』
「…そんな…に？」
『うん、そんなに…って、めっちゃ焦りながら智くんに電話かけまくって、ここの住所を教えてもらったんだ… 笑。』
そう言いながら、翔ちゃんは眉を下げて情けない表情を浮かべた。
そんな彼を見ていたら、色んな想いが押し寄せて、すぐ目の前にある翔ちゃんの服をぎゅっと握った……
『…どうした、？』
「だって…、」
『ん？』
「…いつも、仕事優先の翔ちゃんなのに……、」
『確かにそう…だけど、その言い方なんかイヤかも…笑』
「私…翔ちゃんの仕事にまで迷惑かけて…ごめんなさい…」
『…そうじゃなくて』
「……、」
『迷惑なわけ、ねぇじゃん』
「……、」
『Aが、こんな目にあったのに普通に仕事できるわけねーじゃん』
「……、」
『Aが傷ついる時に俺が側に居てやらなくて、誰がAの傷を癒してやれるんだよ』
その言葉に、胸の奥がギュッと掴まれるような感覚がして、涙で目の前が滲んだ。
「……、翔ちゃん…」
『だから、何があったのかちゃんと俺に教えて？』
「……っ、」
翔ちゃんの優しい眼差しに安心したのか、
言葉よりも先に、ずっと我慢していた涙が次から次へと溢れてきた……。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年3月14日 0時
