スエット Sho side ページ9
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『どう、立てそう？』
「うん…立てると思う」
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マンションについてAをゆっくり下ろし
エレベーターに乗り込むと
俺は子供にするように
Aの頭を撫でてやった。
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『さっき俺、嬉しかったんだよなぁ〜』
「何が？」
『だって、‘‘助けて、翔ちゃん”って
俺の名前を呼んでくれたでしょ(笑)』
「…怖くて、思わず翔ちゃん…って
呼んじゃった」
.
恥ずかしそうにモジモジするA。
…ったく、そんな真っ赤な顔されたら
こっちまで照れてしまうだろうが…。
部屋に着いた瞬間
どちらともなくただいまのキスをする。
リビングに入るなりばたり、と。
ソファに身体を埋めようとする俺の背中に
優しく響く彼女の声。
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「着替えちゃってね？あと手洗いも」
『了解〜』
仕方がなくそのままベッドルームに入ると
何かが微妙に違う感じがした。
あれ、俺のスエットはどこだ？
ベッドのわきで一瞬とまり、首をかしげた。
ぐるりとまわってあたりを見渡す…。
グレーのスエットは朝出かける前に
ベッドの足もとに脱いで
置いたはずじゃなかったっけ？
Aが洗濯したのかなぁ？
『A、今日飲みに行く前に
一度ここに戻った？』
部屋の戸口から彼女に聞いてみた。
「ううん、帰ってないよ」
『おかしいなぁ…』
「どうしたの？」
『今朝、脱いだスエットが
見つからないんだよ…』
「え？ベッドの下に落ちてない？」
ベッドの下を見てみるけど
見当たらない。
反対側にまわって奥まで探っても
やっぱりない。
「スエットは見つかった？」
『いや、まだ』
「明日、私が探しておくから
こっちのパジャマ着たら？」
『んー、サンキュー。
その前に風呂入ってくるわ』
「あと、5分くらいでお湯たまるよ」
『じゃあ、一緒に入る？』
「変なことしない…なら、入る」
『変なことってなんだよ(笑)』
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笑いながらちらり、確認するように見た部屋は
なんか、俺が出かけた時と
やっぱり様子が違うような感じがしてた。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2014年1月18日 0時
