助けて ページ7
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歩き慣れた道を鼻歌を歌いながら歩いた。
今日は朝から仕事が忙しかったけど、
さおに会っていろいろと話しができたせいか
すごく気持ちはラクになった気がする。
四半世紀以上付き合って来た
幼なじみのさおは
私にとってなくてはならない友人なのかも…。
そう考えていた時。
コツ…
自分の後ろの方から足音がした。
さりげなく振り向いてみたけど
私の後ろには人影はなくて…。
一瞬、この間のなんともいえない
あのイヤな感じを思い出して、
体を強張らせた。
ぎゅっと握った手には
うっすら汗をかいている。
…大丈夫。
夜遅いって言っても
人通りが少ない道じゃないし、
この道を歩く人なんて私を含めて普通にいる。
自分に都合よく考えて
また歩き出すと
その足音は段々と近づいてくる…。
次の角を曲がってみよう…
本当なら直進する。
家に帰るには少し遠回りになるけど
曲がった方が人通りも多い。
今は単純に
この恐怖感から開放されたらそれで良かった。
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だけど、後方からの足音は止まない。
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ウソ……誰か…ついてきてる…？
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そう思うと、怖くて歩調が早まる。
そうすると相手の歩調も早まった。
耐えきれなくて走りだすと
相手も走りだした。
「イヤっ、怖い…」
そう声が出たときだった。
「ッ！！！」
誰かが後ろから私の肩をつかんだ。
ばくばくと暴れだす心臓
手はもう冷や汗に覆われている。
え、なに？痴漢？
怖い…、怖いよ。…助けて。
私は怖くて、とにかく怖くて。
肺が細い糸で絞めつけられているみたいな
感覚に息が苦しくなる。
それでも何か言わなければ
泣きそうだったので、
無理矢理に喉奥から声を絞り出した。
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「やだっ…助けて…翔ちゃん…」
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大好きな彼の名前を呼んだ途端
怖さはまた膨れ上がり
涙の気配が濃くなったのを自覚した。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2014年1月18日 0時
