理解できない ページ25
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私はぼんやりと
荷物をまとめたバッグを見つめて座っていた。
「……翔ちゃん」
私、恥ずかしい。
翔ちゃんが忙しい時こそ
きちんと支えてあげなきゃいけないのに
迷惑ばかりかけちゃってる…
「私、何してるんだろ…」
昨日、翔ちゃんのスウェットを
買いに出なかったらこんなふうに
ネットに流されたりしなかったのに。
「私、ダメじゃん…」
自分がどれだけ翔ちゃんに迷惑をかけたのかと
考えれば考えるほど落ち込む。
ソファーのクッションに顔を埋めて
「……私の、バカ」
そう言って、天井を見上げた。
なんか泣きそう。
いや…
私が泣くなんてふざけるなって
感じなんだけれど。
と。
玄関のチャイムが鳴った。
モニターで確認すると翔ちゃんで
私は慌てて玄関へと向かって、
チェーンを外した。
「お、おかえりなさい」
『俺の荷物用意してくれた？』
「うん、寝室に置いてあるよ」
翔ちゃんが私をチラリと見ると
荷物を取りに寝室へと入って行った。
なんか少し不機嫌な翔ちゃんの表情に
私も戸惑いながら
それを追うように部屋へ入る。
『じゃあ、行くね』
「…え？」
翔ちゃんが自分だけの荷物をサッと持つと
今度は玄関へと向かう。
『あとで、俺の残りの荷物は
マネージャーが取りに来るから
Aも忘れ物ないように出て行けよ』
「…翔、ちゃん？」
分けが分からなくて
翔ちゃんの名前を呼んだけど振り向かない。
「今、出て行け…って、言った？」
私の声が届いていないということは、
それを発した自分がよく分かっていた。
「翔ちゃん…待って」
私の声が全く響かず
ぽとりと目の前に落ちてしまうような
そんなもどかしさ。
「翔ちゃん！」
先程よりも声を張り上げる。
けれど、声が届かない。
まるで響かないで、
その場に落ちてしまうみたい。
気が焦ってるのに、
翔ちゃんを追いかけけれない。
何かに邪魔されているように、
重くて進まない足。
すると
玄関のドアが開いて
翔ちゃんがその人に向かって優しく笑った。
「えっ、翔ちゃん…」
『悪りぃ、Aにバレなきゃ、
もっとうまくいくはずだったんだけどさ』
「…なんで、翔ちゃん、
わかんない…分からないよ」
ドアの向こうには
あの赤いマフラーの女性が微笑みながら、
立っていた。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2014年1月18日 0時
