いつもの朝 Sho side ページ21
.
マネージャーからの電話に
いつものように支度をして家を出ようとした。
.
「待って、忘れもの！」
『…忘れもの？』
.
ふと立ち止まり、Aを振り返ると
俺の唇に小さく自分の唇を触れさせて
いたずらっ子みたいな目をして
俺を見つめてる。
.
「今日は、忘れなかったからね」
『だな…(笑)』
「ふふふ…行ってらっしゃい」
『行ってきます』
無邪気に笑うAに見送られて家を出た。
エレベーターに乗り一階へと降りると
エントランスを出る前に
郵便ポストが気になった。
いつもなら気にもとめないのに
昨夜、彼女から聞いたことが
頭の隅に残ってたからかもしれない。
.
‘‘私が見た時は郵便ポストの中には
手紙類はなかったの”
.
そっと手を伸ばしてポストを開けた。
.
手にした飾り気のない包みに頭を傾げる。
なんだこれ？
.
包みを開くと何か布切れみたいのが入ってて
どこかで見た感じがした。
.
あれ？これって…
えっ、なんだよこれ。
.
「どうしたんですか？何かありましたか？」
郵便ポストの前で動かない俺を心配して
マネージャーが車から降りてやって来た。
「その包みの中はなんです？」
『…たぶん、Aの…
無くなったエプロンだと思う』
そう言って包みからエプロンを取り出すと
向こうの景色が見えるような穴が
いくつも開いていて
まるで、カッターで切ったような感じだった。
誰がこんなふざけたことをするんだよ。
怒りにも似た感情が
体の奥から湧いてきて
無意識に拳をぎゅっと握りしめた。
.
「櫻井さん、とりあえず車に乗って下さい」
『いや…だけど』
.
こんなものを見せられたら
彼女をあの部屋に
一人で置いておくことが心配で
今すぐにでも戻りたくなる俺。
.
「櫻井さん、仕事に遅れるわけにいきません。
詳しい話しは、車の中で話しましょう」
静かに俺をうながすマネージャーに
自分の立場を考えると従うしかなくて。
『わかった、行こう。
だけど、車の中でマネージャーに説明する前に
Aに電話だけさせて』
俺は、車に乗るとすぐに彼女へ電話した。
彼女が不安にならないように
一生懸命に話すけど、不安がいっぱいで…
額を押さえながら
電話ごしに聞こえる彼女の柔らかい声を
必死に体に溶け込ませようとするのは
俺の方だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 502人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミイ
| 作成日時：2014年1月18日 0時
