バミューダトライアングル ページ15
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駅の改札口を出ると
赤いマフラーの女性は
私とは反対の方向へと歩いて行った。
やっぱり、私の考え過ぎか…
彼女が私をずっと尾行していたなんて
あり得ないし
横断歩道を渡っていく
彼女の背中を見つめながら
しばらく立ち尽くしていたが。
「帰ろう…」
帰路につくべく、私は家へと向かった。
マンションのエントランスをくぐり
郵便ポストを開けると
きちんと入ってる郵便物にホッとする自分。
あれ以来、郵便ポストを覗くのも
ちょっとドキドキしたりしてる…
鍵を開け、暗い玄関に立つと
微かに漂う翔ちゃんの香りに体が癒される。
「ただいまー…。」
誰も返事をしないと分かっているのに
そんな空間に、毎回言葉を投げ掛けてしまう。
ヒールを脱ぎ捨てて、
フローリングの床に立つと
ヒールがない分、
かかとのほうに違和感を感じつつ
足の裏が開放感に喜んでる。
「はぁ、疲れた…。」
ソファに座り込んで、また一人でそう呟く。
赤いマフラーの女性に
つけられてたんじゃないか…なんて
慣れないことを考えて
必要以上に頭の中を消費したらしい。
翔ちゃんの言うように
サスペンスドラマの見過ぎかも。
ひとり苦笑いしながら
ご飯作るの面倒臭いな、と。
怠惰なことを思う私。
そうだ、簡単に鍋焼きうどんでも作って
缶チューハイでも飲んじゃおう…。
部屋着に着替えて
エプロンを着けて…って
あれ？私のエプロンってどこに置いた？
今朝もエプロンが見つからなくて…
記憶を辿るとーーー
昨日の朝使って、
それから私のエプロンが迷子になってる…
翔ちゃんのスウェットも無くなって
私のエプロンも見当たらない。
間違えて、ゴミ箱に捨てた？
いやいや、そんなことあるわけない。
この部屋には、物が無くなる
バミューダトライアングルが
存在するんじゃないだろうか…
能天気にそんなこと考えて
また、くすりとひとりで笑った。
.
.
このことがあんな大きなことになるなんて
まだ知らずに過ごす夜。
もう問題は動いていたのに…。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2014年1月18日 0時
