赤いマフラー ページ14
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――いったい…どこから一緒だったのかは
はっきりしない。
でも、私の目には普通の
クリスマスプレゼントを選ぶ女性に
映っていた。
だから、気にもしてなかった。
常に混み合うショップの中で、
ふと、どこかで会ったたような
知ってるんだけど思い出さない、
……そんな違和感。
きっと、うちの病院に一度か二度くらい
治療に来たことがある患者さんだよね。
だから気にもとめずに買い物をしていた。
翔ちゃんのスウェットを選びながら
明日のクリスマスイブの
プレゼントにするつもりで買った
お揃いのパジャマ。
寝相の悪い翔ちゃんが
布団を飛び出しても
風邪をひかないように
暖かさそうな生地を選んだ。
…翔ちゃん、喜んでくれるかなぁ。
ちょっとニヤケながら
プレゼントの紙袋を抱えながら
電車に乗り込んだ。
いつもより、人が多い街へと出かけたせいか
疲れた身体を電車の席に沈ませ、
何とは無しに、流れゆく景色を見つめていた。
私の斜め前には高校生くらいの女性が
必死にスマホに文字を打ち込んでいて、
その横の席には
赤ちゃんを抱いた若い母親と
小さな女の子が行儀良く座っていた。
きっと、何年かしたら姪っ子のこのちゃんも
あんなふうになるのかなぁ
そう思った時だった。
何か…視線を感じた。
ふと反対側を見ると
赤いマフラーを巻いた
清楚系の女性と目が合った。
あれ…
あの赤いマフラーの人
さっきのお店にもいたような気がする。
…その前のお店でも見た。
車内アナウンスが流れ
見慣れた町並みの風景に
自分が降りる駅だと気づき
そっと立ち上がった。
と。
その赤いマフラーの女性も立ち上がった。
この人も降りるのか
彼女は静かに前を向いて一点を見つめていた。
気のせいか
電車の窓越しにまた
目が合ったような気がした。
彼女の黒髪が何かを思い出させる…
そうだ。
この間、マンションで見かけた女性だ。
.
気づいた瞬間、寒気にも似た感触が
背中を走り抜けた。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2014年1月18日 0時
