◎ もう一度あなたと◆優しい時間◆ part 11【Sho.S】 (ページ20)

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不機嫌 Sho side ページ20

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相葉「翔ちゃん、Aちゃんを問い詰める
ような聞き方しちゃダメだよ？」

別れ際に相葉ちゃんが言った言葉を思い出して

マンションのエレベーターに乗った。

別に俺だって

Aを叱りつけるような内容でもないし

彼女の口から今日のいきさつを聞きたいだけ。

鳴海だって、今はただのAの同僚だし

あいつとも何回か話したけど

別に嫌いなタイプでもない。

だけど、ほら…

あいつは昔、Aを好きだった男だから

俺としてはいらない心配までしちゃうんだよ。

カバンの中から部屋のキーを取り出して

ドアを開く前に

一回だけ大きく深呼吸した。

『ただいま…』

いつもならパタパタと足音を立てながら

おかえり～って出迎えてくれるのに

今日はドライヤーをかけてるみたいで

俺が帰って来たことさえ気づかない。

黙って、洗面所の横を通り過ぎようとすると

「…おかえりなさい、翔ちゃん」

『ただいま』

俺に近づいた彼女からは

風呂上がりのふんわりとした良い匂いがして

毎日入る風呂なんだから、

当たり前なんだけど

何かあいつとあったんじゃないか

なんて考えて心の奥がチクリと痛む。

「あ、あの…今日のことなんだけど…」

『それより、なんで電話しても
繋がんなかったんだよ』

「ごめんね、コンサートが始まる前に電源を切って…そのまま、電源を入れるのを忘れてたの」

『メールだって、入れたんだけど』

「うん、電車の中で気がついて…」

『あー、もういいや。』

尋問するみたいに

Aを問い詰める自分に嫌気がさした。

『あとで、ちゃんと聞くから髪
乾かしちゃいな』

「…翔、ちゃん…」

そう言って、ちらっと俺を見る目が

一瞬、寂しそうに見えた。

だけど、アルコールの入った体と

モヤモヤとした気持ちの両方が邪魔をして

どうしても、不機嫌な雰囲気を出してしまう。

きっと、何もないって

俺だってそんなのわかってる

分かってるけど…なんだかなぁ。

着替えるために、寝室へ入ると

ガシガシと後ろ頭を掻いて、

はぁっとため息をついた。

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