◎ もう一度あなたと◆優しい時間◆ part 11【Sho.S】 (ページ19)

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彼の才能 Sho side ページ19

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送ったメールにも返信はなく、

何度かかけた電話も

‘‘お客様がおかけになった電話は…”と

同じメッセージばかりが流れる。

Aが鳴海とコンサートに来るってことを

なんで俺には言わなかったのか

逆に言えない理由があるのか

いろいろと詮索してしまう自分がイヤで

気分が滅入る。

結局、重い気持ちのまま打ち上げに参加して

スタッフのみんなを労ってみるけど。

相葉「翔ちゃんどうしたの？疲れちゃった？」

なぜか、こんなふうに人が落ち込んでると

そんな気持ちを微妙に察知する彼は

まるで、飼い犬がご主人様に寄り添う感じで

俺の横に座る。

『…別に疲れてるわけじゃないよ』

相葉「じゃあ、Aちゃんのことが
気になってるんだ」

返事をしないで

ごまかすみたいにビールを流し込めば

相葉「さっきのコンサートにAちゃんと
一緒に来てた男の人って同僚でしょ？」

『…そう、だけど』

相葉「気になってるなら、
電話すればいいじゃん」

『電話しても通じねーんだよ』

別に相葉ちゃんが悪いわけじゃないのに

大きなため息を吐いてしまう。

相葉「通じないって、わざと出ないわけじゃ
ないと思うよ」

そんなこと、分かってるけど

なんか心の中がモヤモヤして

すっきりしないんだよ…。

何も言わない俺をチラリと見て、

おかしそうにフッと笑う。

相葉「翔ちゃん、ヤキモチ妬きだからね」

『…なんだよ、悪りぃかよ』

相葉「俺も、翔ちゃんにヤキモチ妬かれた～い(笑)」

『うるせ～よ』

人のことをちゃかす相葉ちゃんを

眉をひそめて睨んでみるけど

すごく優しい目で俺を見返して。

相葉「Aちゃん、ずっと翔ちゃんばかり
見てたよ？」

『……』

相葉「夢見る女の子みたいに、目をキラキラさせて翔ちゃんばかり目で追いかけてさ」

そう言って、

目尻にシワを寄せて笑う相葉ちゃん。

相葉「それに、二人っきりで
来てなかったでしょ？」

『え、そうなの？』

相葉「隣りの女の子とも仲良く話してたから
きっと、3人で来てたんただよ(笑)」

…なんだ、そうだったのか。

こんなふうに

いつも俺の凝り固まった気持ちや

わだかまりを解かしてしまうのは

彼の経験によって培われたものなのか

それとも彼自身が

持って生まれた才能なのかは分からないけど

俺はいつも相葉ちゃんに助けられている。

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