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日が落ちた頃に、こんのすけが私の部屋にぽんと現れた。
「A……審神者さまぁ」
「うわっ、どうしたどうした」
頭を撫でてやると、こんのすけは泣きそうな顔になった。
「審神者様の真名を、わたくしのせいで、山姥切国広様に知られてしまいました」
まんばに真名を？……ああ、顕現した時から思いっきりこんのすけが私の名前を呼んでたからな。
「真名を知られると、どうなるの？」
「……神隠しされたり、主従が逆転したりと様々ですが」
「……え」
背筋に嫌な汗が伝った。
「……どうして、講義では教えてくれなかったの」
「……審神者を辞退する方が増えるからです」
「なるほど」
こんのすけはもはやぼろぼろと涙を零している。
「ですから、わたくしが審神者様にお伝えしなければならなかったのに、それどころか、」
「……泣くな。たぶん大丈夫だから」
しばらく泣き続けるこんのすけを撫でていると、襖の向こうから声がかかった。
同時にこんのすけは頭を下げてから消えた。
「……起きているか？」
「ああ、入って」
入って来たのはまんばだった。ちょうどいい。
襖がきっちり閉まった後に、私はまんばに言った。
「まんば、私の真名を他の刀剣に教えないでほしい」
「真名？……ああ、わかった。約束する」
すぐにまんばは分かってくれたらしく、真っ直ぐに私を見て、約束してくれた。
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