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「僕は、燭台切光忠。青銅の燭台だって切れるんだよ。……うーん、やっぱり格好つかないな」
もう一振りはたぶん伊達の刀だ。
……名前にコンプレックスがあるのだろうか？
「……光忠、と呼んでもいいか？」
燭台切光忠は嬉しそうに微笑んだ。
「うん。その方が嬉しいな」
「光忠は、嫌いな食べ物とかある？」
「いや、食べ物は全部好きだよ」
その言い方にちょっと引っ掛かりを覚える。
「……もしかして、料理、できる？」
「うん。結構得意かな」
「よかった。これから手伝いを頼むよ。よろしく」
「よろしくね」
なんとなく優しそうな刀だ。
よかった、みんないい刀ばっかりだ。
やっていけないかもしれないという不安は完全になくなった。
「あと二振り、鍛刀してもいい？」
「無理はするな」
「ありがとう、まんば。たぶん大丈夫」
「ぼくは、今剣！よしつねこうのまもりがたななんですよ！どうだ、すごいでしょう！」
「ごめん、どうにも歴史には疎いんだ」
「なぁんだ、そんなの、ぼくがこれからおしえてあげますよ！あるじさま！」
「ありがとう今剣。よろしくね」
「やあやあこれなるは、鎌倉時代の打刀、鳴狐と申します。わたくしはお付のキツネでございます！」「……よろしく」
「……鳴狐、とキツネ、か？よろしく。やっぱり稲荷がすきなのか？」
「はい！わたくしめも鳴狐も大好物でございます」
「そうか、また今度作るよ」
「ありがたき幸せ！」
こうして無事に四振りを鍛刀し終え、食堂へ向かう。
「お、おかえりなさい主様」
「ただいま。ありがとう五虎退」
机の上には大量のおにぎりが美味しそうに並んでいる。
「へえ、美味しそうだね。僕の主は料理好きばかりだな」
「おお、握り飯か。随分と久しいものだ」
「おむすびですかー！やったー！」
「鳴狐！おむすびでございますよ！」
それぞれ思い思いの感想を述べ、手を洗って、椅子に座った。
ちなみに机はかなり大きいので座れないということは全くない。座布団も大量にある。
「いただきまーす」
全員で手を合わせ、好きなおにぎりを手に取る。
中身がわからないままとって食べてみると、牛肉を甘辛く炒めたものが入っていた。
噛むと染みでる肉汁が、少し固めの米とよく合う。
「あるじさま、これは、なんですかー？」
「それはツナマヨのおにぎりだよ。マグロという魚からできてるんだ」
「へえー！ぼく、これが気に入りました！」
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