天使が住まう家 (ページ7)

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あれから3日。
彼は本当にずっと書斎で仕事しているようで、この家からは一歩も出なかった。

私はその間なに不自由なく生活させてもらっていた。

ストレスでなくなっていた食欲も少しずつ回復して、段々と普通の食事も摂れるようになってきた。

良くしてもらえばもらうほど、なぜ、どうしてと疑問ばかり頭に浮かんだ。
彼は一目惚れと言ったが、あんな死にかけの濡れネズミみたいな私を見て一目惚れなんて信じられるわけがない。

また裏切られる。
どうしてもそのことが頭を過ぎる。

彼を信じてみたいと思う気持ちと、また期待して裏切られるのはもう懲り懲りだという気持ちが入り混じって何も考えられなくなっていた。

それからずっとぐるぐると同じことを考え続けていると、嫌な夢を見るようになった。
自分の幼いころの夢だ。

〈あんたなんて産まなきゃよかった！〉

〈なんだよ、その生意気な目は!!〉

ごめんなさいと機械みたいに謝り続ける過去の自分と、ただひたすら私を殴り続ける両親。
意外と人の体って丈夫なもので、どんだけ殴られても簡単には死にはしない。

タバコを背中に押し付けられ劈くような悲鳴が響き渡った。

私は両手で耳をふさぎその場に蹲った。
もうこれ以上なにも見たくないのに、これは私の夢なのに何故かそれを許してはくれない。

次々とシーンが入れ替わり痛めつけられる過去の自分の悲鳴と、それを嘲笑う両親の声が耳から離れなかった。