4、乳鉢と薬草 ページ6
薬研side
薬研「ここ...で間違いないみたいだな...。」
奥の宮への扉に、血のついた手で触ったのだろう。べったりと血の手形がついていた。
扉の奥に進む。廊下が一本、目の前の宮に繋がっていた。
そこの襖が開いている。
ここまで来たのに確認等の時間もあり、一時間位だろう。
そっと足を忍ばせて近づくと、血の臭いに混ざって、ツンとする匂いがした。
これは、薬草だ。
部屋を覗くと、机が見えて、よく使い込まれた乳鉢が見えた。
もっと奥に目を凝らすと.....
いた。
あの人間だ。
思わず動いてしまって音がたつ。
わずかな音だったにも関わらず、人間は反応したのだろう。
動こうとしたが、体を起こした瞬間、大きく咳き込んでしまった。
薬研「おい、動かない方がいい。俺っちはただ、あんたを探しに来ただけだ。武器も持ってない。」
俺っちの話を聞いて、後ろ姿しか見えないが、人間は動くのをやめた。
薬研「人間、傷を見せてくれないか。そのままじゃ危ない。」
人間は頷いたようだが、ずっと体を床に横たえていた。
薬研「失礼するぜ。」
歩く度に埃が少しあがる。
ここに人間を放置するのはあまり良くないだろう。
人間の側に行き、回り込んだ。
人間は服を着ていなかった。
自分の服を裂いて、そこに薬草を塗り込んだのだろう。傷口に当てている。
胸にはさらしを巻いていたが、そこも血に染まっている。
膨らみの大きさから、女だろう。下半身は袴を太ももまで破いて、足の止血をしていた。
随分手慣れているが、これでは処置が足りない。
薬研「傷を見るために布を退かすぞ。」
頷く力も余りないのだろう。
狐の面は今にも崩れそうな位ぼろぼろだ。
彼女が頷くのを見て、布を退かす。
薬研「これは...刀の傷じゃねぇな。」
明らかに、獣にやられたあとだ。
牙に切り裂かれ、噛まれた時にできる傷だらけだ。
酷い打撲があちこちにある。
薬研「あんた...一体何があった?役人も一緒じゃないみたいだけどよ...」
何も答えない、否、答える力もないようだ。
薬研「まあいい。今死なれても俺っちたちは状況が分からないから困る。手当てさせて貰うぜ。」
彼女を抱えると、驚くくらい軽かった。
すると、初めて彼女が喋った。
「かた.....な....。」
薬研「刀...?」
彼女の側には鞘に入った太刀があった。
薬研「あんた...刀剣か?」
気を失ってしまったらしい。
取り敢えず太刀も抱えて、俺っちは大広間へ向かった。
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白い雪(プロフ) - * *花菜**さん» ありがとー!頑張る笑 (2018年3月29日 9時) (
レス) id: b06dc51979 (このIDを非表示/違反報告)
* *花菜**(プロフ) - ひさしぶりに読んだよ！応援してます(*´ω｀*) (2018年3月29日 8時) (レス) id: 10d63d3fb8 (このIDを非表示/違反報告)
白い玉(プロフ) - 千本桜さん» ありがとうございます!!一気に更新を公開するので待っててください! (2018年2月7日 15時) (レス) id: b06dc51979 (このIDを非表示/違反報告)
千本桜 - 続き楽しみにしてます！更新、頑張ってくださいね！応援してます！ (2018年2月7日 5時) (レス) id: e733f5adaf (このIDを非表示/違反報告)
白い玉(プロフ) - 優香さん» ありがとうございます!!更新一気にするつもりなので楽しみにしててください!! (2018年1月26日 13時) (レス) id: b06dc51979 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白い玉 | 作成日時：2017年11月5日 19時
