９２話 ページ6
夜も更けて真面目な玉鳳の隊員が天幕に戻り、寝付く頃、私は賁様の天幕に向かった。
賁様が普通に好きだからだ。
だが恐らくそれは女々しい感情でない。偶に私に浴びせる性格の悪い言葉にムッとしたり少し腹を立てたりすることもあるから。
そんな時も賁様が好き。
立ち位置などの観点から見たら違うと思うけれど、それは親友の感覚にも似ている。親友程親しい訳ではないけど。
親友に茶化されてムッとしても、親友のことが好き。
他の人と話すより、親友とずっと傍にいたい。話したい。
そんな感情。
それでも私は列記とした女で、賁様を格好いいと思ったことは何度あったやら。
でもそれも女だからという理由ではない気がしている。だって私が男に産まれても、あの人のことを格好いいと思うに違いない。
華のあるタイプとは別に、賁様は美青年だと思っている。顔も、スタイルも。流れるような髪も。
最初出会った頃は憎たらしいクソ野郎だと思っていたけど…ね。
前にも言ったがこれはあまり女々しい感情ではないから「賁たま⋯イケメン♡」
なんてゲロ吐くぐらい気色悪い考えはお持ちでない。
元の性格もそこまで女々しくはないし。
そんな下らない考えをしているうちに、賁様の天幕の前。
『賁様ー。』
珍しく、今日の賁様は胡座をかいて盤上の駒と闘っていた。
山陽戦で一度千人隊になったものの、当時は“かき集め”を含む隊になっていた為上手く戦えなかった。
千人隊の力を最大限引き出すために、策を練っているのだ。
手には陶器に注がれた酒。誰かに差し入れられたのだろうか。
賁様は酒を飲むのはあまり好まないけれど、それは皆でわいわいするのが得意でないからで、今は出されてあったから水分補給的な感覚で摂取しているだけだと思う。
酔ってるようにはみえないし。
『珍しいですね。』
賁様は一度だけ左手の陶器に目線を移してから、
賁「お前はよく来るな。」
と眉をひそめ、ため息混じりに言った。
私は盤を挟んだ賁様の向かいに楽な姿勢で座り、もう一つあった陶器に勝手に酒を注ぐ。
それから
『賁様の千人将昇格を祝って。』
右手を伸ばして賁様の陶器に軽く当てて、勝手に乾杯した。
深酔いしない程度に注いだ酒を、一口口に含んだ。仄かな甘味と柔らかい味が美味しい。
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高木 - 主が瀕死状態のシーン見てみたい続き待ってます！ (2021年10月15日 16時) (
レス) @page13 id: 1b00569172 (このIDを非表示/違反報告)
中村千尋(プロフ) - 更新頑張って下さい!!とても続きが気になります (2019年5月19日 21時) (レス) id: a991a170a0 (このIDを非表示/違反報告)
そら - すごく面白いです。更新待ってます。 (2019年4月21日 7時) (レス) id: d084693c8e (このIDを非表示/違反報告)
XiuLu-涙(プロフ) - いまでも更新待ってます。 (2019年2月25日 18時) (レス) id: 3abc175966 (このIDを非表示/違反報告)
狭間電源 - きめ細かな文で、かつ面白いので更新、待ってます。 (2018年9月29日 14時) (レス) id: c89b62a7b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：末利 | 作成日時：2017年2月18日 10時
