８９話 ページ2
『⋯！始まった。』
理由は分からないが、急に魏軍の士気が上がった。そしてぶつかり合う両軍の波。
魏軍の士気は予想以上に高く、秦軍の右半分を大きく削り出した。
それに備え、後方予備隊の玉鳳と楽華はそれぞれ戦う準備を始める。
『賁様…。』
賁「なんだ。」
前方部隊と私達の後方予備隊の間に、土門将軍が指揮を取りながら立ち塞がった。
少し盛り返す前方を眺めたまま、賁様は耳だけこちらに傾ける。
『輪虎はどのように攻めてくると思いますか。』
番「何を言っておるんじゃ。輪虎は目の前に来ているだろうが。⋯！？」
奥の敵がいきなり移動を始めた。砂煙をたて、よく見えない。
敵はやがて二つの巨大な渦となり、左右逆方向に回りながらこちらへ近付いてくる。
二つの渦は横陣を左右に分け、
番「賁様！左で異変がっ」
陸仙「蒙恬様！」
恬「(飛信隊の持ち場か！？)」
薄くなった、飛信隊のいる横陣の真ん中へ突っ込んで行った。
横陣を鋭利な刃物か何かになったように、易々と通り抜ける敵軍。その先頭には、輪虎がいた。
『英備将軍の旗がっっっ！』
番「このままじゃと本陣も突かれるぞ！！」
賁「(⋯⋯⋯⋯⋯ﾁｯ)」
「「ドオォッ！！！」」
『！？⋯あっ⋯信！！！』
輪虎の勢いを止めたのは、後方予備に回っていた信と、飛信隊の仲間だった。
あとはもう信に託すしかない。
賁「敵の足が止まっただけで浮かれるなバカ者。」
『分かってますよっ。』
すぐに横陣の全体が魏兵とぶつかり複雑に入り乱れる。乱戦が始まったのだ。
『そっちはいい！向こうの壁を厚くしろ！(クソッ…強い。左が今にも崩れそうだ。)』
賁「抜かれるな番陽！前方の援護を増やせ」
『左に増援はいらない！私が止めに行く！
その分20人削って全体に散らして！』
玉「(すげぇ…A一人で20人分以上の働きはしてんぞ……)」
恬「東加！右方の援護に行け！危ない
俺の周りはいい、もっと隊を広げろ！
(輪虎に集中がいかぬよう、反対側に強い兵を置いているのは分かるが…
今日の魏兵は異常に強い。)」
「前が抜かれたぞっ」
「蒙恬様、敵が来ます！」
恬「俺達で敵の前線を討つぞ！
(さすがにこの状況じゃ持ち場を離れるわけにはいかない。きっと王賁も同じだ。
何とかもちこたえてくれ⋯信⋯)」
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高木 - 主が瀕死状態のシーン見てみたい続き待ってます！ (2021年10月15日 16時) (
レス) @page13 id: 1b00569172 (このIDを非表示/違反報告)
中村千尋(プロフ) - 更新頑張って下さい!!とても続きが気になります (2019年5月19日 21時) (レス) id: a991a170a0 (このIDを非表示/違反報告)
そら - すごく面白いです。更新待ってます。 (2019年4月21日 7時) (レス) id: d084693c8e (このIDを非表示/違反報告)
XiuLu-涙(プロフ) - いまでも更新待ってます。 (2019年2月25日 18時) (レス) id: 3abc175966 (このIDを非表示/違反報告)
狭間電源 - きめ細かな文で、かつ面白いので更新、待ってます。 (2018年9月29日 14時) (レス) id: c89b62a7b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：末利 | 作成日時：2017年2月18日 10時
